客観的とは?主観的とは?
主観的とは何か、客観的とは何か。
まずはそれぞれの言葉の意味を理解してみましょう。
主観的とはどういった意味でしょうか。
goo辞書によれば、
客観的とはどういった意味でしょうか。
goo辞書によれば、
つまり、
主観的と自己中心的とは違います。自己中心的と言うのは自分の都合や利益を中心に考えることであって、物事の捉え方とは異なります。
とはいえ、主観的に考えるのは基本的に「自分の考えを述べなくてはならない」時だけです。普段は客観的見解が求められるビジネスシーンが多いため、それを理解せずに主観的にばかりに偏って考えていると結局自己中心的であると思われても仕方の無いことなのかもしれません。
では、客観的でありさえすればよいのでしょうか。
主観的な目線は必要ないのでしょうか。
そんなことはありません。
客観的に考えることと主観的に考えることの大切さ、それぞれに大切さがあります。
客観的に考えることが大事なのは当たり前
仕事でプレゼンテーションをする時を考えてみましょう。
相手に理解してもらう/納得してもらうためには、自分の視点に立っていてはいけません。誰が見ても正しいデータを使い、誰が見てもわかりやすい資料をつくる必要があります(対象となる相手のレベルにあわせる必要はありますが、そのあわせなければならないという視点も客観的であるということです)。そして、対象の相手が理解できるように発表する必要があります。
このように、プレゼンデーションでは自分ではなく対象からの視点で考えなくてはなりません。すなわち客観的視点(=客観視)が必要なのです。
でもこれは仕事だけの話ではありません。友達でも恋人でも夫婦でも、相手がいて、相手と一緒に行動する以上は、客観的視点が必要なのは当たり前です。
しかし、これができません。
客観的視点にいる間は主観的視点を捨て去る必要がありますが、これがなかなか難しいのです。知識、情報、経験の不足をどうしても主観で置き換えてしまう部分があるからです。
また、感情が先走ってしまう場合も多数見受けられます。気をつけなくてはならないのは主観的な考え方を、あたかも客観的に捉えているように言ってしまいます。
主観と客観は、人に伝える時、明確に区別しなくてはなりません。
そして、それがわかるようにしなくてはなりません。
そうでなければその物事について知っている相手にはいらつきを与えてしまうし、知らない相手には誤解を与えてしまいます。できない結果、説明が下手だと思われてしまうのです。
主観的に考えるということについて
では、主観的に考えるということは全く必要ないのでしょうか。
それは「NO」です。
そもそもスタートは主観的な考えに基づかなくてはなりません。人であり、人格がある以上、そういうものです。
しかし、大抵の人は主観的な考えだけに頼って物事を判断してしまおうとします。この時、自分に対して自ら「本当にそれでいいのか?」と問うだけでも冷静に客観視できるのですが、それができずに自らの中にあるものだけで判断、決断、行動を起こそうとするからよほどの経験や情報がないと常に自信のない状態を招くのです。
大事なことは主観と客観を交互に繰り返し、そのバランス上に立つ答えを導いていくことです。そして、いずれ自分の主観については間違いであることは間違いであるとわかるし、正しいことは主観から客観的なものにすることができるのです。
SOCAマトリクス
「SOCAマトリクス」とは、主観⇔客観・具体⇔抽象の2軸で区切った4つの領域のことです。「SOCA」とは、
主観(Subjective)
客観(Objective)
具体(Concrete)
抽象(Abstract)
の頭文字を指します。曖昧さを無くし、議論を積み上げていくためにはなによりも認識の共有が不可欠ですが、そのために全ての事象(議題)を4つの領域に分類する思考方法がこのSOCAマトリクスになります。
もしも、主観的視点と客観的視点の切り替えを意図的に行うことが難しいと感じたなら、この図をイメージしましょう。
■第1象限 アイデンティティ的領域
過去の莫大な履歴で構成される限りなく個人的領域。本来、他者と共有することは不可能な領域。
例)「ズバっとやればいいんだよ」と説明されても
さっぱりわからない状態
■第2象限 世界観・あり方的領域
多くの前提を共有することで、他人と共有することが可能となる領域。
例)「板前さん、美味しいところよろしく」と注文する客
■第3象限 目に見えやすく共有しやすい領域(目に見える世界)
他者と少ない前提で共有することができる領域(左下ほど共有しやすい)。
例)「PJの失敗の45%がコミュニケーションで43%が人間性。
残りが技術的問題」とすれば正しく共有できる
■第4象限 現状認識的領域
第3象限の領域で起きた事象を対象化することで言語化できる領域。
例)「現在の進捗は5画面中3画面できたので、60%だと思います」
と報告する進捗状況
そもそも客観と主観は180度正反対の位置にあります。そのため、スムーズに切り替えるにはコツと経験が必要で、それらを修得することが難しい人は段階的に切り替えていく方法をとるとよいでしょう。
この4つの領域は、下図のとおり「対象化」「抽象化」「構造化」「具体化」でつながっています。
実はシステム開発などでもこのサイクルを利用していますし、利用しないとどこかお客さまの満足度を下げるシステム構築になっているはずです。ゆえにこの業界ではそれぞれの4つの認識・視点をスムーズに切り替えられなければ良い仕事を実現することは困難となるのです。
①目の前の業務を物理的に捉え、客観的事実として認識する(第3象限)。
→要求分析(システムアナリストの領域)
②過去の事例と照合するために客観的事実を対象化し、主観的な認識へと変化させる(第4象限)。
→要求定義/要件定義(上流エンジニアの領域)
③重なり合ったこれまでの莫大な個々の事例が、帰納的な思考の末に抽象化させる(第1象限)。
抽象化された認識の重心部分が、アイデンティティに直結する領域。
→モデリング(アーキテクトやエンジニアの領域)
④演繹的に導かれる直感を言語化し、お客さまやメンバーと共有できる形に構造化する(第2象限)。
さらにそれを実現するための必要十分条件を予測する(抽象的仮説)。
→設計(エンジニアの領域)
⑤抽象的仮説を具体化させ、それを元にモノを創り、社会に提供する。
→設計/製造(エンジニア/プログラマの領域)
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