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オンリーワンよりナンバーワン

あくまで個人的には、ですけど(:3_ヽ)_

他の人にはない自分だけのクリエイティブな強みをつくるよりも、既出の領域で差別化を図る方がどうしても楽に感じてしまうもので。そこは、人それぞれの特性に依存してしまうかもしれません。


かつて国民的アイドルグループのヒット曲の歌詞の中に

 「ナンバーワンにならなくてもいい。オンリーワンでいい」

という趣旨の歌詞がありました。
個々人の生き方を考えるのであればそれでいいかもしれません。特に恋愛関係の話であれば、オンリーワンで十分という考え方は多くの方にとっては妥当でしょう。

新事業開発について書いた本などを見ても「局所的オンリーワン」を目指すことが、新規参入を防いだり、顧客からの値下げ圧力を低下させる上でも有効であると書かれているものは少なくありません。

いわゆる『ニッチ戦略』の戦い方です。

ニッチ、すなわち大手企業が乗り出してない分野や、誰も注目していないような分野をねらって進出しようという戦略で「すきま戦略」とも言います。

既に、完全な新規事業と言うものは、よほどの発明や名案でもない限り、まず生まれることはありません。それほどにもう色々なものが出揃っている時代なのです。

そんな中でこのご時世、オンリーワンになると言うことがどれほど難しいことか、少しでも経営や市場に明るい方であればお分かりになるでしょう。

ただ「局所的オンリーワン」は聞こえはいいものの、一方でしばしばニッチ(隙間市場)でまずまずの成功を収めればいいと考えてしまうこと、あるいは成長できなくても仕方ないと考えることの言い訳になる危険性をはらんでいます。

ビジネスである以上、利益も重要ですが成長も大事です。あえて大きな戦いの場でナンバーワンを狙うチャレンジ志向を最初から持ち続けることもやはり大切なのです。


そこで目指したいのは、「局所的オンリーワン」ではなく、ある程度大きな市場におけるナンバーワン、可能ならば圧倒的ナンバーワンです。

それがやはり規模の経済性(売上規模が大きくなるほど単位当たりの製造コストや提供コストが下がること)などにも効いてきて、圧倒的に大きなリターンをもたらすからです。

たとえばユニ・チャームは、1963年に多角化事業としてスタートした生理用品事業において(同社はもともとBtoBの建材メーカー)、2年先行していたアンネをあっという間に抜き去り、国内市場で圧倒的な地位を築きました。

後発ですから、当然最初からオンリーワンではありません。

しかし、「この市場が伸びる」「ライバルに勝てる」と判断し、一気呵成に経営資源を集中することで、現在に至るまで続く市場ナンバーワンの地位の基盤をつくったのです。

ナンバーワンになることは、オンリーワンになることに比べると非常に容易です。

自身よりも優れた会社あるいは上位にいる会社をよく観察すれば、解析すれば、まったく同じレベルに達することは不可能ではないからです。後発であるからこそ先駆者の苦悩を味あわなくていい…という点は非常にありがたいメリットです。これは後ろから覗いて模倣できる側の強みと言っていいでしょう。

さらにどの会社でも『完璧』と言うことはありませんから、あとは他社が若干不得手としている部分で優位に立てばいいだけです。一歩でも半歩でも抜けば、ナンバーワンのできあがりです。

たとえば、「技術力が好きで、技術力で勝負するんだ」と言って、同規模の同業他社と比べた際に、皆さんはどの程度の順位にいるのでしょう。

ピラミッドの中層以上にいるのでしょうか。
それとも、中層未満でくすぶっているのでしょうか。

図23

これは、マネジメント面でも、品質面でも、同じことが言えます。

どの土俵で競っても良いでしょうが、「ナンバーワンになろう」と言う気概を持って業務に従事していますでしょうか。

そもそも人工ビジネスの場合、売上とは原則「工数 × 単価」で算出されることになりますが、その単価は市場における価値の高さに依存します。すなわち、よりナンバーワンに近い人材こそが高単価を獲得できるのです。

ちなみに、オンリーワンには価値がつきません。厳密にはつけづらくなっていると思います。なぜなら、市場に比較対象がいなければ価値のつけようがないからです。だからこそ言い値で設定できる強みがあるのですが、そのぶん当たり前のことですがオンリーワンになれる企業は一掴みだけです。


確かに競争は可能ならば避けたいものです。

戦略は文字通り「戦(いくさ)を略す」ことが本質という考え方もあります。
ただ、

 必要以上に競争を避けて狭いニッチにこだわったり、
 安住しようとしていないか

は常に自問しましょう。
そうしないと、つぶしの利かない強みになってしまうと、時代や市場がほんの少し変化しただけでそれまでの価値が一気に下がってしまう可能性もあるからです。


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Takashi Suda / かんた
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