マネジメントの一番悪い例
「そもそもマネジメントしていない」
…当然これは最悪です。しかし、マネジメントしている風に見えていても、同等の最悪となるケースが存在します。それは
「計画書を作っても、
計画に重きを置いた実行プロセスを歩んでいない」
です。計画を完全に軽視したマネジメントです。これはマネジメントしていないのとほぼ同じことを意味します。
とはいえ、元来、マネジメントとは決して計画的に進めることを意味しているわけではありません。マネジメントの本質は『やりくり』です。
マネジメントとは、計画-組織-統制の一連の活動。企業に導入されれば経営管理。しかし、マネジメントは役所、学校、政党のような組織体にも不可欠である。マネジメントには、マネジメント機能が必要であるが、マネジメント機能は計画-実行-審査(plan-do-see)の循環であると開設している。計画を立て、実行し、その結果を比較・分析・審査することによって、つぎの計画をより合理的にたてるよう配慮するといった考えや態度、やり方である。
日本では、管理職のことをマネージャーと呼ぶため、マネジメントと言うと「管理」を意味していると思いがちですが、管理はマネジメントのごく一部でしかありません。
マネジメントに実質的に求められているのは
①:目標を設定する
②:組織を編成する
③:職場の環境整備
④:業務を把握し適切な育成を行う
⑤:目標に対する評価をする
⑥:理想と現実にギャップがあれば、それを是正する
と言った活動から、目標達成できるように取り計らう行為全般を指しています。「計画」は、⑤に至るための流れにとってたまたま都合がいいために推奨されているにすぎません。
『評価』とは、活動前にあらかじめ予測しておいた『理想(の答え)』とのギャップを測定することに他ならないからです。そして、この理想を言語化し、明記したものが計画書というわけです。
プロジェクト活動にせよ、事業運営にせよ、あらかじめ決めておいた目標、および目標に到達するための細やかな計画を元に、定期的に現実とのギャップを測定することになります。計画通りにいかなくとも、評価を正しく行いたいのであれば、計画は必須です。
そうしなければ
「行動に問題があったのか」
「計画に問題があったのか」
を評価できないために、全く関係ない是正をしてしまいかねません。
たとえば、
と言うように、短いサイクルで定期的にチェックし、問題点や改善点を早期発見、早期摘出するからこそ、リスクが致命的なリスクとなって表面化する前に対策でき、これによって計画実現性が向上します。
仮に計画そのものが誤っていた…と言う評価だったとしても、大きな問題が起きる前に、計画を見直すことが可能になります。修正後の計画実現性が向上すると言う意味では、全く問題はありません。
ですが、仮に『計画』をしっかり立てたとしても、
と言ったように、計画書だけ作ったら、なぜかマネジメントした気になって、あとは振り返ることもなく、今までの我流でテキトーに進めてしまうとどうでしょうか。
実際、このようなケースによってトラブルが後を絶ちません。
このようなマネジメントをされてしまうと、帳尻を合わせるかのように残業や休日出勤が増え、組織的なブラック化も当たり前となって、最後の最後はお客さまとの調整によって金(賠償等)で解決する…と言うことになってしまいます。
違いは、定期的な「評価・見直し」を実施した/しなかったの違いだけで、実際には実行プロセスにおいて、計画通りのマネジメントを実施しないことには、マネジメントしていないのと、何ら変わりがありません。パッと見、マネジメントしようとした痕跡だけを以って虚偽も作りやすくなるため、スッパリとマネジメントしていないケースより悪質と言えるでしょう。
これはそもそも、"計画書を書いた"だけであって、マネジメントとは呼びません。しかし、こうした実態が当然のように蔓延っています。
私たちIT業界の先達たちは、単純にIPAの提供するプロジェクトマネージャー試験やPMP(Project Management Professional)を取得させるだけではなく、本質的なマネジメントを実施するために必要な教育を推進していかなければなりません。
そのためには、
なぜ必要なのか?
しないとどうなるのか?
するとどのような効果があるのか?
しないことによって発生する問題に対して責任を背負う覚悟はあるのか?
を正しく把握する必要があります。このことを理解しないままマネジメント知識だけを吸収しても、おそらくは正しい使いこなし方はできず、結局は属人的な判断や主観に身を任せて、ギャンブルのようなマネジメントに身を投じ、一喜一憂することになることでしょう。
これは、「ラーニング・ピラミッド」の中でも言われていることです。
そうならないためにも、意味や意義を持って活動することは非常に重要なのです。