「仕組み」で考える人の習慣化
なんでもかんでもルールや制度にすると息苦しい
自由にやらせてほしい
そんな主張をする人たちがいます。言うのは勝手ですが、その決断に責任を負う覚悟があるならばそれもいいでしょう。上手くいきさえすれば何も問題はありません。当面は。
しかし、実際には問題のオンパレードです。
第一にただただ「自由」にするということは、無法地帯にするということでもあります。上手くいく人"だけ"から見てみればその方が都合がいいのでしょうが、そうでない人はどうすればいいのでしょう。それはチームやグループと言った組織として見た場合、本当に成立するのでしょうか。
大局的に、社員全員を同じ屋根の下にいる仲間としてみた場合、
「デキる奴だけできて、デキない奴はできなくてもいい」
と言う社会体制がどれほど危険で乱暴な思想かは、その方式を国や社会に当てはめてみればよくわかります。要は弱肉強食を推奨するということですからね。
仮に「優秀な人がそうでない人を教育とかでフォローすればいいじゃない」と言ってしまったら、その時点から強者の理論を弱者に押し付ける文化が始まります。自由も何もあったもんじゃありません。結局のところ、ルールや制度が出来上がっていくだけです。
チーム、課、部、会社、どのような輪であれそれらの組織に属する以上、下から数えたほうが速い人は上にあがれる努力を、上から数えたほうが速い人は下の人たちを引っ張り上げる、あるいは支える努力をしなければなりません。
そのために必要とされる法、制度、ルール、仕組みと呼ばれるものは、常に
その通りにやりさえすれば誰でもできる
ようになっている必要があります。
そんな中、特に『仕組み』を有効に活用しようと考える人は、次のようなことを常に、習慣化して考えます。
楽をすることにこだわる
「仕事」と「計画」を理解していればこの言葉の本質が理解できるでしょう。
「手を抜くことではない。楽をすること。
"楽をする"こととはすなわち求められた結果を変えることなく、
労力を最小化するということ」
「楽はしてもいいんです。ただし、結果が変わってはいけない。
結果が変わらないのであれば、一番楽な方法で結果を出せるように
なりましょう」
「ただし、他人を利用するのはダメ。
それは自分の身にならない。それは手を抜いて手柄を奪っているだけ。
手を抜くと、絶対に自分の財産にならない。実力にならない」
このテーマはこれまで多くの新人教育や若年層のフォローなどでも話しています。
「仕組み」で仕事する術の原点は、「面倒くさい」や「やりたくない」と言う気持ちです。デキない人や自己中心的な人は、そこで「やらない」や「他人を利用する」と言う選択を取ります。しかしそこで「やらない」ではなく「楽にやる」のがポイントです。
そもそも「面倒くさい」と思った時点で、
・面倒なこと
・でも必要なこと
が葛藤しているということに気付きましょう。「不要なこと」であればそもそもやらなくていいはずです。やらなければならないからこそ「面倒」を感じているのです。
にもかかわらず「やらない」と言う選択を選べば、確実に業務上の問題となるのは当然です。その「面倒くさい」を「楽」に変えるために自分の仕事に「仕組み」をつくるのです。
シンプルに考える
「仕組み」で考える人は常にその仕事の「ポイント」を考えます。
特にとっかかりの際には、具体的なことよりも抽象的なことや本質的なことに重きを置きます。たとえば、
「どうやったら作るか?」
という具体的な課題解決よりも
「絶対に外してはいけないポイントはどこだっけ?」
「このお客さんだったら、アレとアレはしておかないと怒り出すかな」
という要点を絞り込んでリスクの有無を見ようとします。
こうしたことは打ち合わせ中、仕事中など、いつでもどこでも考えます。楽をするためにもシンプルに考えられる癖をつけておこうとします。ポイントから外れていることは考えません。
「絶対にポイントは外さない。
でもその代わり、外しさえしなければやり方は任せてもらう。
となると、その仕事を一番楽に、一番早く達成できるためには
どうすればいいか」
そこから仕事を組み立てていきます。
記憶せずに記録する
そもそも「仕組み」にする以上は、人の能力に依存するような方法は考えません。記憶に頼ると言うことは、「人」を縛り付けるという悪しき習慣から抜け出せていない証拠です。
また、記憶力では人はコンピューターには勝てません。「勝てる」と言う人がいたらその人はおそらく生来の嘘つきでしょう。
会議や打合せをしたがるけど、決して記録に残さない
意外なことに、そういう人がけっこういます。
お客さまにも多いものです。
色々な言い訳を作ってメールや記録を嫌がり、面着での打合せをしたがるのですが、その割に参加してみると絶対に記録化せず、次回の打合せの際に
「以前こういう話をしましたが…」
と言って切り出します。中にはあくどい人もいて、その際に微妙にニュアンスを変えて自分に都合のいいように解釈した言い回しにしたりする人もいます。
それをわかっている人は決して「記憶」などには頼らず、その代わりメモや議事録など「記録」を残すことを欠かしません。そして自分の頭は「覚えること」に使わず「考えること」だけに集中させます。
脳のメモリをシンプル化するからこそ、高いパフォーマンスも出せるようになるのです。
わからないことは聞く
結果を出せる人は自分より優秀な人からどんどん学びます。わからないことは恥ずかしがらずに経験者に聞きましょう。
何でも個人の記憶や努力に頼る人は逆にパフォーマンスが悪いものです。
なぜか?
基本的に仕事というものは、1種類の技術、1種類の能力だけで成立するものではなく、複数の技術や能力で成立するものだからです。
自分の記憶にそのすべてを閉じ込めると、技術体系が異なるものや、時間軸が異なるもの、記憶領域が異なるものを一つひとつ思い出すだけでもパフォーマンスが低下します。
こういうコストを
スイッチングコスト(切替費用)
と言います。
「えーと、たしか一年前に○○と言うことがあって…、えーとそれから
それをA社では△△と言っていた気がしたけど、
あれ、でも自分が過去に動かしたときってどうだっけ…」
と言ったように、自分の頭の中に格納している場所や時間軸が異なると思い出すだけでも一苦労になったりするのです。
普段から自分の時間を時給で判断する
誰にでも平等なものはお金ではなく時間です。
「プロ意識」の一つにお金に対する姿勢と言うものがありますが、私たちの労務上の給料とは基本的に月給や時給といった労働時間に換算して行われるものですので、考えるべきはお金ではなく時間で考えるのが妥当です。
時間をいかに効率よく使うかで、成果が変わってきます。
たとえば自分が1時間仕事をしたら、いくらかかるでしょうか。
3000円? 10000円?
たとえば、あるエンジニアの単価を90万とした場合、1日あたり45,000、1日を8時間とすると、
1時間当たり5,625円
かかるというわけですが、それにみあったパフォーマンスや責任ある行動をとらなければ給料を払う価値のある仕事をしていないということになります。
このように、まず自分の時間単価を知り、それで行動や成果を判断します。
もし自分がやっている仕事が、同じ結果を出すにあたって他人を雇うほうが効率的なら自分では一切やらないことです。時間とお金の無駄使いです。もっと価値ある仕事にシフトしなければなりません。
うまくいっている人の真似をする
ひとりの人間の能力や考えなんて、たかが知れています。
なんでもかんでも自分の考えでやる人は相当パフォーマンスが悪いはずです。逆にパフォーマンスが出ている人は必ず誰かの真似をしているはずです。
成功者の真似をしたほうが圧倒的に速い。
これは真実です。
とにかく真似をして、それを吸収したらそれが自分の能力になる。
ただ、それを繰り返す。
そこにプライドは一切不要です。
ただし、すべてを真似して同じ成功になるとは限りません。
きっかけは真似であっても自分の環境や境遇、条件にあわせてカスタマイズする必要はあります。しかしゼロから何かを生み出すよりははるかに楽なはずです。
自分を「型」にはめる
ケーキを作るにしても、ホールの型を使った方が楽にきれいなホールケーキができるでしょう。自分で型も使わずにホールっぽく作るのは至難の業です。だからまずは型にははめて行動しなくてはなりません。
これは要するに「守破離」の考え方です。
そして世の中というものは、
自分がつくった「仕組み(型)」で動くか
他人がつくった「仕組み(型)」で動くか
そのどちらかです。どちらであっても自分自身の決断や判断に責任が伴いますので、どちらであって他人のせいにすることはできません。
しかし、自分でつくらなければ一生他人がつくった「仕組み」にコントロールされて生きることになります。
ですが、それでは自分の性格や能力、特性に合っているかどうかわかりません。場合によっては圧倒的に非効率で、自分で考えるよりもつらい苦労を強いられることになっているかもしれないわけです。ですがそれすらも自分はそれで生きていくと決めたのであれば誰かに責任を押し付けることもできません。
しかし、本当の意味で自分を効率よく動かし、最も楽して結果を出すことができるルールや仕組みは自分でつくるのが最も理想的なはずです。最も自分に向いている方法を選択するでしょうから、嫌でもパフォーマンスは上がることでしょう。
かと言って自分で作った「仕組み」に不備が多ければ、他人にまで不幸をまき散らすこともにもなりかねません。常に、様々な観点の考え方と合わせながら、より良い方づくりを考えていく必要があります。
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