ネガティブ思考のポジティブな活用法とは
宇宙一外食産業が好きな須田です。
さて、前回の続きです。
ネガティブな感情のポジティブな活用方法をお伝えします。
その前に、人の思考パターンにはネガティブ思考とポジティブ思考があると思います。
多くの方はなんとなくこの二つがあるとご理解いただけると思います。
勿論、これだけじゃないよという方も、そもそもこのように区別することがおかしいという方もいらっしゃると思います。
それぞれどのようなお考えでも構いませんが、ただ言えることは、どうも人には思考する際に得意なパターンがあるということだけはご理解いただけると思います。
あくまでも“思います”ですから、私の個人的な感想です。
ある方は、いつも場の空気を乱すような、上げ足をとるような、または、やたらとリスクばかりを強調してくるとか。
またほかの方は、前向きな発言が多いような、プラスの面ばかりを話すようなとか、上手いったときのことをイメージしてお話をする等、その人によって同じテーマ同じ話題でも捉え方が違う傾向があります。
私はこの違いのことを「考え方の癖」と呼んでいます。
一般的にネガティブ思考と言われることも、あるいはポジティブ思考と言われることも、どちらもその方の「考え方の癖」です。
「癖」ですから、ゴルフのスイングの癖と同じです。
球筋がスライスするとかフックするとかって言いますよね。
プロが見ると「あっ そのグリップだと・・・」と、原因が瞬時にわかるようですが、このように考え方も同じように癖があり、その癖を創り出している原因があります。
ゴルフの球筋の癖が、思考でいうとネガティブ思考なのかポジティブ思考なのかで、ゴルフでいうと原因がグリップにあるように、思考にもその思考になってしまった原因が必ずあります。
癖ですから、原因が理解できて何度か練習をすれば誰でも直すことは可能です。
直す必要があるのか、直すことがいいのかなどはいったんおいておきます。
そもそも論になるとお話しが前に進みませんので、いったん保留とします。
さて、直すためには原因を探る必要があります。
一般的にポジティブ思考は直す必要がないように思われがちですが、勿論ポジティブ思考にもデメリットはあります。
ポジティブ思考のデメリットは、思慮が浅いこと、行動が早すぎて周りがついてこれないこと、結果に対してキチンと検証をしないことなどが挙げられます。
兎に角すぐやってみたい、良い面しか見ていないから、不測の事態が起きた時の対応ができません。
そもそも、そのような事態が起きるということを想定していないので、準備をするという概念がありません。
このようにポジティブ思考にも、デメリットはあります。
「ポジティブなのはいいけどさぁ、もう少し考えから行動してよね、こっちが巻き込まれてさぁ、ホント迷惑なんだよ!」
このセリフって聞いたことありますよね。
もしかしたらつい愚痴った方もいるかもしれません。
でも一般的にはポジティブ思考は、前向きな側面が強いので受け入れられることの方が多いのも事実です。
特にリーダーはポジティブ思考の方のほうが組織としては、行動もスムーズで結果も良い傾向になる確率が高いです。
勿論100%ではありません。
次に、ネガティブ思考のデメリットですが、一番のデメリットはなんと言っても周りの関係者のモチベーションを下げてしまうことです。
ある方がマイナスの発言ばかりをする傾向があるとすると、最初のウチは「大丈夫、そんなことは起きないから」とか、「心配しすぎですよ、そうなったらその時に対処すればいいんですよ」などと、なんとかポジティブな方向に向かわせようとしますが、このネガティブな思考による発言と後ろ向きな行動が、関係する方々を蝕んでいきます。
だんだんとネガティブな発言をする方との接触を避けるようになり、徐々に組織としての効率が下がり、ついには全体のモチベーションが下がってきてしまいます。
勿論、業績などの結果も満足の行くことは無くなって来ます。
そうなんです、ネガティブな思考は周りに毒を吐き散らかしているようなものなんです。
しかもそれは、言うなれば濃度の薄い毒ですから、気が付かないうちに徐々に蝕まれていきます。
でも、当の本人はその方が感じている正義の発言なので、いつもの正しい常識の上に成り立っている思考の結果の発言という行動です。
何も矛盾点はありません。
がしかし、周りの状況は悪化が進行していきます。
この状況を好ましい状況にするためには、不必要な大きな努力を無理やり行う必要があります。
この努力自体が、この作業自体が、このようなことを考えなければならないことが組織としては非常にマイナスであり、大きなロスです。
特に、このネガティブ思考を得意とする方が組織の上層部にいる場合は、特に面倒なことが発生します。
例えば、本社からある指令が店舗の現場に降りてきたとします。
今月の売り上げ目標のようなことだとします。
するとポジティブ思考の店長であれば、周りを巻き込んでその目標を達成するためには、どのようなことを行えばいいのかを考えて、みんなに指示を出し前向きに行動します。
しかし、ネガティブ思考の店長であれば、そもそもこの売上目標は現実的なのか?本当に達成できると本社は考えているのか?また無理な要求を突き付けてきた、本社は全く現場を理解していない、無理に決まっているだろう。
一応指令だからやってみるけど、たぶん無理!
みんなにも伝えるけど、まぁ行っても85%ぐらいかなって感じで考えてしまいます。
そして、スタッフには
「一応本社からの売上目標を伝えるけど、これはまぁあくまでも目標ですから、我々現場としては出来ることを確実にやっていきましょう!」
なんて発言します。
ちょっだけ前向きに感じられる発言をしますが、それは本社の指令に背いたと言われないように保身をしながらも、目標達成が出来なかったときのリスクヘッジもかけながら、このような趣旨の発言をします。
実はこれ、私が営業部の執行役員をしていたクライアント先でも、店長教育を行っていた複数のクライアント先でも、同様に耳にした言葉です。
この発言を聞いた直後に、この店長さんたちに発言の意図と真意を聞いてみましたが、全員がほぼ同じ趣旨のこと言いました。
「もし目標に到達しなかったときのこと考えると、どうしてもリスクヘッジをしておかないと、スタッフのモチベーションが下がることが怖い」
「自分自身への評価が下がることも怖いので、目標達成が出来なかったときのリスクヘッジをかけておきたかった」
「目標が達成できなったときに、スタッフからの自分に対するマイナスの評価が怖いので、目標は自分の考えではなく、あくまでも本社の意向であることを前もって理解させたかった」
だいたいこんな感じの解答が主でした。
共通点が見えますでしょうか、お分かりになりますでしょうか。
発想の始点がすべて自分発信になっているんですよ。
「目標達成できなかった」がまず前提条件です、「達成出来たら」も「達成するためには」も発想の始点にはありません。
“行くか行かないかは時の運”みたいな感じで、自らその結果を引き寄せるという思考がないんです。
次に、達成できない時に自分への評価がどうなるのかが、一番に気になっていることなんです。
スタッフのモチベーションが下がることが怖いのは、モチベーションの下がったスタッフと働くことがしんどくて、モチベーションを上げることをやりたくなくて、そもそもモチベーションを下げたのは自分だと言われたく無い、下げたのは本社だから自分が責任を取りたくなくってという風に感じて考えています。
非常にユニークな思考パターンです。
良い傾向の、好ましい傾向の思考パターンとは思いませんが、いちいち腹を立ててもしょうがありません。
次に考えることは、この思考パターン出会ったとしてもどのように結果を引き寄せるかです。
そこで、ここから本題ですが、ネガティブな思考パターンのポジティブな活用法を学ぶことの方が得策なんです。
結果を出さなければならないのが命題ですから、個人的な思考パターンを修正するのは、当のご本人が自ら気が付いてカウンセリングにでも行って、自己啓発セミナーでも受講していただければよいことですから、欲しいのはあくまでも好ましい結果です。
さて、そこで考えることはないかというと、ネガティブ思考のポジティブな側面を考えます。
先ほどポジティブ思考のデメリットをお伝えしましたが、今度は逆にネガティブ思考のポジティブな面にフォーカスしてみたいと思います。
そもそも、あらゆることを否定的に捉える傾向があるネガティブ思考ですが、あえてポジティブな側面を考えてみようと思います。
否定的に考えるということは、現状に対してしっかりと熟考しているかもしれません。
非常に現実的な視点で考えている傾向が強いです。
スタッフの力量不足を認識しているかもしれません。
それなりにデータ分析をしているかもしれません。
前もって予想を立てる力は持っていると思います、その予想の内容はさておき、将来を見据える力はあります。
そもそもリスク管理は得意なことですから、使いようによってはプラスに作用できます。
というように、実は視点を変えるだけでネガティブ思考の中にはこれだけの、いえ、きっとこれ以上のプラスに転換できる要素が隠されています。
否定的に捉えられる側面の中にも、ポジティブに活用できる可能性が見えてきたと言えます。
では実際にどのようの方向付けをすると良いのかです。
先ず本人の思考パターンがネガティブ思考であると、認識を共有するようにします。
ここで大事なことは、本人がネガティブ思考であることを拒否させないことです。
どちらかというと、リスクヘッジを念頭に置いて考えるよね? とか
一般的に発言の方向として多いのは、目標が未達成の場合の対処の方向が多いよね? などと、本人の発言と思考パターンを悪いこととしてとらえていないという印象与えるようにして、ネガティブ思考の傾向がある、その傾向が強いことを認識してもらいます。
最も簡単なのは、「基本的にネガティブ思考だよね!」と、直接指摘するやり方です。
実はネガティブ思考の方はほとんどが、これまでの人生で何度となくネガティブ思考を指摘されています。
ですから、知ってはいるけれど変化できなくて本人も悩んでいる場合がほとんどです。
ですから一気に聞いても大丈夫なんですが、極まれに自分自身がネガティブ思考の傾向が強いと認識していない方もいるので、先ほどのよう質問形式の共通認識の取り方がいいです。
次に、ネガティブ思考そのものを変えることではなく、ネガティブ思考のポジティブな使いたかたに意識を思考を向けさせます。
ネガティブ思考は、すぐには変化させられないよね?自分でもわかっているけれど、なかなか変化は難しいよね!と、できないことではなく現実的なことに意識と思考を向かわせます。
そもそもネガティブ思考の方は、どちらかというと現実主義者という認識がありますから、この認識の延長線上の伝え方をすると、すんなりと同意ができます。
次に、現実的に考えるとある結果を達成しようとする際の、阻害要因に対する観察眼が鋭いことを伝えます。
先ほどお伝えしたネガティブ思考の店長さんたちの解答の例を列挙しましたが、あの内容はどれも阻害要因を前もって理解していることばかりです。
スタッフのモチベーションとか、本社の自分に対する評価とかですから、本社の評価基準、評価ポイントがどこにあるのかを理解させると、達成できなかったことではなく、達成できるように何をしたのかが評価基準であり評価ポイントであることを理解させます。
スタッフのモチベーションが下がらないように君が何を行ったのかが評価基準であり評価ポイントだということを理解させます。
リスクヘッジが得意ということは、前もってスタッフな準備状況などを確認する能力が高いということを理解させます。
そもそも目標は達成できないと鼻から決めつけている方々ですから、目標達成出来ない理由はいっぱい知っています。
ですから、その理由を端から確認させてスタッフを動かすように仕向けます。
シフトはちゃんと埋まってる? 今日の予約は確認した? 仕入れは完璧?食材はちゃんとそろってる? オーダーは大丈夫? 提供ミスはない?などと、前もってあらゆることを確認してリスクヘッジをやりまくることを伝えます。
本来できないと考えており、リスクばかりに気が行っているので、そのリスクヘッジの能力をポジティブに活用します。
このようにして指導をすると、ネガティブ思考の店長でも、その思考パターンをポジティブな活用の仕方に変換できます。
ネガティブ思考のままでポジティブな活用法を導入することができます。
是非、トライしてみてください。
ポジティブに考えて!