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夫の生態入門
ステレオタイプというものはパロディにとっては欠かせない。
パロディで起こる笑いや、ベタな笑いが成立する為には「多くの人がそう思っているだろう典型的なイメージ」が人々に共有されていることが前提となる。ステレオタイプは時に差別や無理解の原因にもなるけれども、笑いとユーモアの源泉にもなりうる。
イギリスの老舗出版社であるLadybirdからの出ている大人向けのイラスト本『The Husband』は子供向けの教育絵本の体裁(パロディ)で、「夫」というものはどういったものかを、あたかも動物の生態でも説明するかのごとく平易な英語で説明してくる。
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例えば、こんな風に
The husband likes to do simple repairs, like changing the washer on a faucet. Afterward, he likes to talk at great length about what a struggle it was and will want to be treated as if he has invented a machine that turns farts into gold.
夫というものは、水道蛇口のワッシャーの交換のような簡単な修理をすることを好む。その後、それがいかに大変だったかを長い時間かけて語り、そしてまるでオナラを金に変えてしまう機械を彼が発明したかのごとく扱われることを好む。
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散々な言われようだけれども、あながち否定も出来ない。。。。
またまた日本の例もあって、
In Japan, you can buy a robot husband. This is M1., a fully motorized electronic husband. He can move furniture, barbecue, clear gutters, carve roasts, install TVs, kick and catch balls, and is even programmed to apologize.
日本においては、ロボット・ハズバンドを買うことが出来る。これはM1で
モーター式の電動夫だ。彼は家具を動かしたり、バーベキューをしたり、排水溝をキレイにしたり、肉を切りわけたり、TVを設置したり、キャッチボールをすることが可能で、さらに謝罪することもプログラムされている。
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この小さな馬鹿げた本「The Husband」のベタなネタで、少しふふふ、と楽しい気持ちになっているところに奥様が本を覗き込む。
「何を読んでるの?」
僕はページを見せる。
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The husband hears as much as 30 percent of what is said to him.
夫というものは、自分に言われたことの30%程は聞いている。
奥様は不適な笑いを浮かべて吐き捨てるように僕に告げる。
「30%もあれば良い方だわ」