コンサルティング業界を世界標準の経営理論で分析してみた

背景

・コンサル業界は戦略中心から、DXなどのIT領域へ移行している。
 その中で躍進しているのがアクセンチュア。
 一方でマッキンゼーやBCGなどの戦略コンサルの影が薄くなってきている。

・さらにDXの実行支援という枠組みで、
 実行支援の段階まで行うベイカレントが高級人材派遣として急成長。

・コンサル業界は人月ビジネスで、
 どれだけ多くの人をどれだけ長い期間貼り付けさせられるかで売り上げが決まる。
 戦略は短期間で終わってしまうため、人を長く貼り付けられないが、
 DXでは実行支援まで含めると数年単位で長く人を貼り付けられ、売り上げを伸ばしやすい。

3. RBV

・コンサルティング会社は自社の人材の稀少性というリソースを競争優位の源としていた。

・人材の稀少性は過去の実績や知名度といった因果曖昧性に規定され、模倣困難性が高い。
 その結果BIG3と呼ばれる一部の戦略コンサルがリソースの稀少性を保持しつづけ、優位な立場を築くことができた。

・近年ではそこまで人材の質が求められないDXなどのITコンサルティングのニーズが高まったことから、人材の稀少性が優位性に直結しなくなった。
 その結果BIG3に代わってアクセンチュアが台頭している。

6. 情報の経済学② エージェンシー理論


・会社の現場レベルは、
 課題の解決をされたら困るあるいは面倒なこともあり、
 コンサルティング会社と①目的の不一致がある
 また現場レベルの細かな情報はすべて共有するわけではなく、
 目的の不一致も相まって、不都合な情報は共有しない可能性が高く、
 コンサルティング会社との間で、②情報の非対称性がある
 ①と②の結果として、
 会社の現場レベルがコンサルティング会社および会社の経営層に対して不利益な行動をとるモラルハザード問題が発生する可能性がある。

・この問題をどう解決していくかがコンサルティング会社の腕の見せ所ともなると想定される。

・一方で、DXの導入となると、
 現場としても新しく使いやすいシステムが入ってくれた方がうれしいため、
 ①目的の不一致が発生せず、コンサルティングがやりやすいと思われる。

15. 組織の知識創造理論

・案件における体験から獲得した経験を①共同化し、
 その経験をもって帰って集団の形式知に変換することで、②表出化させ、
 その形式知を理論化させて、③連結化する
 その理論を実践する④内面化が行われていると想定される
・コンサルティング会社は知の創造である、
 SECIモデルが体系的に実行されている組織ではないか

20. 認知バイアス理論

・コンサルティング会社は、依頼元の企業の内部にある認知バイアスがかかっていない状態で、提言ができる。
 例えば技術への過信や、過去の実績など。

・一方でコンサルタントとしての認知バイアスのもと情報を収集してしまう可能性がある。
 例えば無理にフレームワークに当てはめこもうとしてしまうなど。

・コンサルティング会社自身が戦略コンサルを妄信する認知バイアスにかかっている。
 戦略の方が上だと考えるような認知の風土があったことで、
 ITとの組み合わせでビジネスを展開するアクセンチュアに対して、
 多くの戦略コンサルティング会社が出遅れた。

21. 意思決定理論

・コンサルタントは、①期待効用理論や②プロスペクト理論にあてはまるような、過去の投資や資産に左右されずに提言ができる。
 そこにコンサルタントとしての有用性がある

23. センスメイキング理論

・コンサルタントはクライアントを腹落ちさせて、行動させることが必要となる。

・そのために、①環境を感知し、②解釈をそろえ、③イナクトメントさせるセンスメイキングが必要。
 そうでなければ、机上の空論に終わるが、コンサルタントはどこまでしているのか?

・少なくともコンサルタントは①感知して、②解釈して、③行動するのプロセスをたくさん繰り返しており、
 フレームワークや理論については深くセンスメイキングしていると思われる。

26. ストラクチャーホール理論

・コンサルティング会社は異なる業種と取引するため、
 様々な情報が手に入るブローカー的な立ち位置になっている
 そのため情報やその情報のコントロールにおいて優位な立場を築くことができる。

所感

・リソースが足りない部分を外注しているのがコンサルタントとして考えると、
 今トレンドとして外注されているのが、DXを行うITの領域だと考えられる。
 売り上げを伸ばす時代は戦略が求められたが、コスト削減が求められる時代ではDXが求められているのではないか。
 時代のトレンドに応じて、コンサルタントに求められるものは変わると思われる。

・経営理論を使いこなしている戦略コンサルタントですら、
 認知バイアスにかかってしまって判断を誤ってしまったという気付きは面白かった。
 持たざるものが、持つものに勝つための手法を考えるために、
 持つものの認知バイアスの穴をつくというのは良い手法かもしれない。
 素朴な疑問だが、コンサル会社の戦略は誰が考えているのだろうか。

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