おおむら
おおむらけんた となのります。
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記事一覧
50首連作「散り散りに清々」
第六回笹井宏之賞 応募作
顔の映っていない自撮りを何回かスワイプするだけの昼下がり
野良猫が一瞬だけは近づいて離れていった かぜのおとの巣
月マークが夜の晴れって知らなくてそんなのよくて肌の奥行き
小径で減速が早いのに漕ぐ使命感にかられない・アンド・ゴー
法のもとに 止まるべくして止まったりそうでなくても止まったりする
悪いことがあってパトランプが回る ノースリーブ 氷を齧る
高
川柳10句 「DECADENCE001」
嘘つきが歌ってくれた子守唄
火もなしに恋を再現する始末
目も脳も失っている掛け布団
背中から生えちゃいけない薫
鏡面にはだかが映る最後の日
家出からいちばん近い雨宿り
悉く一輪挿しかパラフィリア
夢で一起きて一ひき蚊を潰す
黒揚羽呼吸記号に間に合わず
美少年呼べばこたえる川回廊
短歌5首「-setuna-」
揺れる揺れる水面に花火残像の花火しずかに花火死にゆく
ボーダーコリーの刺繍を胸にして昼に思うことを夜にも思う
熱病に罹患する夢 冬につららを舐めること夢にも思わない
高架下 手持ち花火を消す悪魔が命のギャップでわらわせにくる
109は大きなシンボル コンピュータグラフィックスにならない