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江戸時代のセルフケア「養生訓」とは

「養生訓」という言葉を聞いたことがありますか?

「養生訓」というのは、江戸時代に貝原益軒(かいばら えきけん)という儒学者、本草学者(薬草などの研究者)が書いた本です。
当時の平均寿命が50歳以下だった頃に、84歳まで長寿でまっとうされた方です。そんな方が書いた「健康本」なのでめちゃくちゃ説得力あります。
貝原益軒は、人の健康だけではなく、人の生き方や、在り方等を庶民にも分かりやすく提唱された方です。

300年前の書物ですが、現代の私達にも必要なエッセンスに溢れた提言が沢山あります。

本日は、「今」私達に必要な貝原益軒の言葉を現代語訳と共にいくつかご紹介させていただきます。

私はオンラインセミナーで「血液検査の深読み講座」を行っておりますが、時々受講者さんから「血液検査項目の〇〇の数値が高いのが気になる」とご連絡を頂きます。セミナーでは、数値が高くなったり、低くなったりする原因をお伝えしていますが、それが受講者さんのケースにあてはまるのかは分かりません。
あらゆる可能性から原因を探るのは良いことです。
ただ私達はどうしても、その高い数値を基準値に合わせるということにフォーカスしがちです。
血液検査の数値が全てが基準値に入っていれば、「健康」か、というと疑問です。

私は数値だけにフォーカスするのではなく、本人にとっての「元気」を目指すことを目的としています。

養生訓では、「気」に関する記述が沢山書かれています。

「人の元気は、もと是天地の万物を生ずる気なり。是人身の根本なり。」

(現代訳)人間の内なる元気は、もともと天地の万物を生む気である。これが人間のからだの根本である。

人それぞれの「元気」は違います。私自身も元々体力がある方ではないので、無理して身体を動かすことは止めました。今はもっぱらデスクワークが多いです。

「生付きたる内の元気を養ひて、いのちながくして天年をたもつ。」

(現代訳)生まれつきの内なる元気を養い、命は長く天寿をたもつことが出来る。

「養生の害二あり。元気をへらす一也。元気を滞らしむる二也。」

(現代訳)元気にとって一番いけないことは減る(消耗)と滞る(停滞)である。

消耗と停滞を避けるには、元気をめぐらす、すなわち身を動かすことが大切だそうです。心はあくまでも静かにし、身を動かし、手足を動かすことです。

病気の方も早く良くしたいと、焦ってしまいがちです。養生訓では、病気を人のからだの経過として考えます。

「萬の事、あまりよくせんとすれば、かえってあしくなる」

(現代訳)何事も最高を求めすぎると、かえって悪い結果になる。
病気にはその病気なりの経過があり、「時」が来なければ治らない。
ひたすら保養を心がけて、やたらに薬を用いないで、病気が自然に癒えるを待つのが良いと説いています。

そして養生訓では、ひとの心の在り方も提唱しています。

「気は一身体の内にあまねく行き渡らるべし。むねの中一所にあつむべからず。いかり、かなしみ、うれひ、思ひ、あれば、胸中一所に気とどこほりてあつまる。七情の過ぎて滞るは病の生ずる基なり。」

(現代訳)気を胸に集めない
気はひとのからだの中の全体に広くいきわたるようにしなければならない。胸の一か所に集めてはいけない。怒り、悲しみ、憂い、悩みがあると。胸の一か所に気が滞って集まる。七情が過度になってとどこおるのは病気の起こるもとである。」

「養生訓」では、食事を慎むこと、腹八分等が書かれていますが、大切なことは自分の身体に合ったもの、自分の身体が欲しているもの、それを的確に感じ取り知る事。
自分の身体の自然の欲求の方向を的確につかむことを私達に教えてくれています。

人生100年時代、貝原益軒のように晩年に「養生訓」を出版し、歯も抜けず、暗闇でも細かい字が読めるような人生を私達も送りたいですね。

本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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