もっと早くに読んでおきたかった~けもの道・藤村 忠寿~
唐突ですが、「水曜どうでしょう」が好きです。
ひとりぐらしをしていた社会人時代、ふっとテレビをつけたときに存在をしり、あっという間に自分を虜にした番組です。
その番組の仕掛け人が書いた本。もっと早くに読んでおきたかったです。
1.自分は現場が好きなんだとおもう
何年と番組を現場でつくっていた人です。さぞ素敵な哲学や教えが書かれているかと思えばそんなことはなく、ただ好きなことをつらつらと書いていました。「少年を大志を抱け!」とかメモしたくなる言葉は一切なく、当時の思い入れを書き並べているという。藤村さんが好きな人にとっては一瞬肩透かしにあうかもしれないです。
ただ、素敵な言葉が書かれているわけではないですが、藤村さんのスタンスがわかる内容でした。海外ロケに行ったときのこと。予算を取ってロケをしたけどお蔵入りにしたときにとった行動など。私が番組制作者であったら考えていないこと。それでいていわれると「確かにそうだよな」という行動を当たり前にしている。
そんな彼の行動は「こうだという想いを語らず行動で示される方だな」と思うようになりました。
2.自分は機会を作る、その場である
現場で画をつくる人であるのは確かなのですが、それと同時にあるのは決して最前線にいないということ。ディレクターですから演者よりも目立つことはないし、画面に現れるわけでもない。なのに存在感はばっちり。場面によっては演者藤村となるのではないかと感じるほど。
あくまで自分は機会、撮れ高のために行動する。けっして自分が撮れ高をきめない。
ボールをシュートして点を取るのではなく、点を取れるようにできることをする。
その姿が私の何かに触れたのかもしれないです。
自分自身、決して楽をするのでもないですが、結果を作り出す。自分が作る出すではなく「自分に関わる誰かが結果をつくる」この結果を肴に近所の(個人経営の)居酒屋でお酒をのみながら、周りが自分の作ったものの話をしている。そこに店主が「あちらの方が、つくったかたですよ」と言ってしまったら「大将、いわないでよ。今日は静かに飲みたかったのに」って話している。これだけの空気、風っぽさがいいなぁって。
3.そして時間が経って
番組がスタートしたのが1996年。まもなく30年が経とうとしているにもかかわらず人気が衰えない。一過性のブームで終わるのでもなく、それでいて静かなブームでもない。温泉に浸かって「よかったよねーあのシーン」って今日も日本のどこかで話題になっているだろうというのがわかる番組はこの番組以外ないと思います。好きなシーンはバラバラでも、ひとこと「水曜どうでしょうが好きです」と言えばわっと人が集まってくる。
この記事を書きながら、番組を観たくなってきました。次はどのシリーズをみようかなぁ。