春節直前!年越しモードでまっ赤っかの浮かれ上海
「来週は年越し」
正月気分も完全に抜け切った1月下旬にこんなことを言われたら、頭上にハテナマークが飛び出してくるのではないだろうか。アメリカ横断ウルトラクイズの解答用シルクハットが目に浮かぶ。
中国の年越し(春節)は旧暦を採用しているため、毎年1月下旬から2月上旬が年越しとなる。2022年は2月1日が日本の元日に相当する。つまりこの記事を書いている1月28日時点では年越し直前となり、世の中はすっかり春節モード。浮かれきって仕事が手に付かない状態なのだ。一方で、常に冷静な私は、静かに浮かれている。
日本の正月飾りにあたる中国の春節飾り。今回は春節飾りのお店や商品を中心に、豫園商城のライトアップや街の浮かれっぷりをご紹介しようと思う。浮かれ万歳、年末無礼講だ。
雑貨市場がまっ赤っか
上海の代表的観光スポット「豫園商城」のすぐそばに「福民路」という路地がある、「福を民に」という意味合いで、縁起物を買うにはもってこいの実にありがたいストリート名だ。
この福民路には雑貨市場があり、普段は中国雑貨やノベルティなど渋めの小物を取り扱っているが、年越し直前ともなれば取扱商品が春節飾り中心となり、ほぼ全てのお店が真っ赤に染まる。中国最大のイベント「春節」ともなれば、とにかくこれが売れるので浮かれるのも無理はない。
私はどうかと言えば雑貨市場の外のお店を毎年利用している。Uの字型通路の店内にみっちりと詰め込まれた春節飾りで、まっ赤な世界に足を踏み入れるだけでも楽しい。
店内もバッキバキにまっ赤っか。大判ラベルや吊り下げタイプにお年玉袋など、さまざまな春節飾りが陳列されており、あれこれ手にとっては「赤いな〜、ほんと赤いな〜」と要らない確認が止まらない。
上海現地のDAISOでも購入することができるので、手近に済ませたい人は利用してみても良いかもしれない。
春節飾りのレイアウトをしてみよう
今回は大判ラベル、提灯型のぶら下げ飾り、おめでたワードラベル、虎のぬいぐるみ、この4点を購入した。
大判ラベルは福の文字を中心に中国結びを模したデザインで、赤青黄色のメタリック感がかっこいい。銀紙にエンボス加工や立体化など細工もしっかりしており、15元(約272円)なので見た目の迫力に比べるとリーズナブル。
ミニ提灯が連なったぶら下げ飾りはとにかく可愛い。平面的な春節飾りの中にこの提灯が加わることでボリュームが一気に増すので、他の春節飾りとぜひセットで購入しておきたい。もちろん浮かれっぷりも爆増だ。
対聯と呼ばれる「おめでたワードラベル」。おめでたワードが対句で門に貼られているのを、カンフー映画や中国の時代劇で見たことがあるかと思う。
パッケージにおめでたワードが記載されているので、自分に合ったおめでたを選んで購入するのが良い。私は「幸運が舞い込み、富と財産が続きますように」というワードをチョイスした。金のにおいがプンプンする。
試しに床の上でレイアウトしてみるとこうだ。
これをドアの外に貼り付ける。もう貼ってもいいのだが、周りの家は誰も貼っておらず、日本人が一人浮かれていると思われてもシャクなので我慢している。
ついでに買った虎のぬいぐるみは、ドラクエに出てきそうな顔をしている。
豫園商城春節ライトアップ
福民路すぐそばの豫園商城内では、新年や干支にちなんだライトアップが多数作られており、この時期のオススメの春節スポットだ。さぞかし浮かれているのかと思いきや、それを吹き飛ばす見事なライトアップの数々が用意されている。
入ってしばらく進むとまずこの迫力。貴金属宝石売り場と財産の神様で富の波が押し寄せてくる。
そのまま奥へ進むと昔ながらの建物が綺麗にライトアップされており、頭上にはランタンがズラッと飾られている。高低差をつけて奥行きをグッと感じさせる見事なデザインだ。
さらに奥の広場にメインのオブジェが飾られている。毎年干支をモチーフとしており、今年は巨大な虎が空を見上げている。
日本の虎もお目見えだ。
その他にも豫園商城の全体がライトアップされているので、春節シーズに上海に来た際にはぜひ足を運んでいただきたい。ただし、年明け後は大変混雑するので要注意。
どのぐらい混むかというと
このぐらい。(2021年春節)
もう浮かれている場合ではない。
街の様子はかなり静か
春節直前ともなればさぞかし街は浮かれて賑やかなのかと思いきや、上海中心部は意外とそうでもない。それもそのはず、すでに春節休暇に突入している人やお店が多く、上海から故郷への帰省した人たちも多い。人の心は浮かれているが街はひっそりとしている。
年越しとは直接関係は無いが、新年に家族で自家製の干し肉を食べる習慣もあり、冬の風物詩として軒先に干し肉をぶら下げているのをよく見かける。
上海に住み始めて間もない頃は気持ちの悪い存在だったが、今では見かけただけで「美味しい」と感じてしまうので慣れとは恐ろしい。
人の家に行けばとにかく干し肉が目に入る。スープや炒め物、炊き込みご飯などレシピはさまざま、薄く切って焼いてお酒のつまみとしても最高。
干し肉初日はやっぱり生々しく、今でもギョッとしてしまうが、干し上がったらさぞ美味しいのではと、驚きより食欲が勝ってしまう。自家製干し肉と温かい紹興酒で浮かれた春節を過ごしてみたい。
こうして見てみると、街全体としては静かな雰囲気だが、春節商売のお店は儲けに浮かれ、仕事納めの会社員は休暇に浮かれ、人それぞれさまざまな浮かれっぷりが存在する。20年ほど前は街全体がガヤガヤしていたが、都市整備による洗練化や感染症対策による警戒感で、近年ではかつての浮かれっぷりもさほど見られなくなり、若干の寂しさが北風と共に吹き流されていく。
またいつか気兼ねなく海外旅行や国内旅行ができるようになったら、ぜひ春節時期の上海に遊びに来てもらいたい。その時のために、今は浮かれキープの状態なのだ。
でも所々は浮かれている。
後日追記
玄関に春節飾り貼りました。
春節終了にあたる元宵節(2月15日)まで浮かれモードの我が家です。