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短歌5首|春の指紋

ぞうがめの眠れる甲のふちけずれさざめきながら人は過ぎゆく

父買いしカメレオン型リュックサック母はカフカと呼びてながむる

くぐもってゆく夕間暮れうろ覚えの住宅街をほろほろ歩く

そこここに春は指紋を残しおりかき撫でらるる街はうすべに

はさはさと芍薬おもく散るように手放してゆく天使の記憶

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「かりん」2024年4月号〜8月号掲載作より編みました。

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