見出し画像

自分は中国と「対話」できているのだろうか

このたび帰任されるという、日本の中国大使である垂秀夫氏の会見の内容が、NHKの記事で読めるようになっていました。

僕は氏の経歴や業績、これまでの言動について詳しく把握しているわけではなく、どのような人なのかも恥ずかしながらしっかりとはわかっていません。たまにSNSで「中国に対してはっきりと物申すことができる人」として喝采を浴びていたり、逆にそのことで批判されているのが流れてくるのを知っている程度です。

そんな氏への浅い理解にもかかわらず、この会見をマガジンで取り上げようと思ったのは、ある一節が気になったからです。引用します。

また、われわれとしてはなかなか受け入れがたいような理由で、日本の政策を批判されるようなこともありました。そういう時、多くの日本の人たち、とりわけ中国に長く勤務してるような人たちには「中国だからしょうがない、郷に入っては郷に従わないといけない」と理不尽なことを受け入れてしまうきらいが、私はあるのではないかと思っています。

そうしたときに民間の人、それぞれの個人はなかなか言いにくいんだと思うんですね。立場上も言い難い、企業の人も言い難い。でも私は日本の大使として、しっかり主張すべきは主張する必要があるという気持ちで、必要に応じておかしいことはおかしいということを声にしてきたつもりです。

上掲記事より

この一節が、日本人の立場から中国、そして中国人のことを考えている人間として、考えさせられるものだったのです。

どういうことかというと、僕自身が中国的な理不尽に数々出会う中で、本当は悔しさや怒りを感じているのに、それを「中国だからしょうがない」といって、上っ面で調子だけを合わせて対話を諦めたことが、やはりあったように思うのです。

ここから先は

1,603字
この記事のみ ¥ 300
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

いただいたサポートは貴重な日本円収入として、日本経済に還元する所存です。