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中国には服装の自由がある(一部除く)

子どもができてからというもの、街中で子どもをよく見るようになりました。見る頻度が増えたというよりは、いままでただ風景として映っていたものがより意識に上りやすくなったという感覚です。

それで、そのへんを歩く子どもを見ていて気づいたことがあります。それは子どもたち、特に未就学のくらいの子が、みんな思い思いに好きな格好をしているということです。

勝手に写真を撮るわけにはいかないので文章で説明しますが、たとえばディズニープリンセス(白雪姫とかエルサとか)の服を着て親と一緒に散歩している女の子や、魔女の宅急便のキキみたいなでかいリボンをつけてスーパーに買い物に来ている子がいます。女の子に多いですが、男の子でも軍服みたいなのを着ていたり、スパイダーマンのタイツみたいなのを着て遊んでいる子を見たことがあります。

何かの発表会の帰りとか、特別な日どりというわけでもなく、普通のお出かけの服としてそれを選んでいるようです。中には親の押し着せたものもあるのかもしれませんが、それなりに自然に振る舞っているので、イヤイヤ着ているケースはそんなになさそうです。

僕も子どもがもう少し大きくなったら、好きな服を着せてあげたいなと思います。

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ところで、中国では思い思いに好きな服を着ているのは子どもに限りません。大人もわりと好きな服、それもコスプレっぽいものを着て普通にその辺を歩いています。

代表的なのは、漢服でしょうか。

https://kandianshare.html5.qq.com/v3/video/4651019824157808046より

いつの頃からか、中国の街中にはヒラヒラした古代中国の衣装っぽいものを着て外を出歩く人が増えました。このまま地下鉄にも乗っていますし、ショッピングモールでミルクティーを飲んでいたりもします。女性が中心ですが、男性も一定数います。

官製で推し進められてきた「国潮」(中国の伝統的意匠を再評価しようというトレンド)の機運や、スマホゲームなどのカルチャーの影響を受けて、こうした服装が身近になりました。また、SNSと「映え」の文化が浸透したことも、衣装を着てキラキラ写真を撮りたい人々の意向にマッチしたのかもしれません。実際、どこの公園や観光スポットに行ってもこうした衣装で写真を撮っている人を見かけます。

流行り始めた当初は長い裾を引きずって歩く姿に驚きましたが、いまでは視界に入ってきても何の違和感も感じないほどになりました。それくらい普通に街中にいます。

あと、最近は以前ほど見なくなりましたが、日本風のJK制服を着て歩いている人もよく見かけます。一時期の爆発的な流行を経て(ある時期までは本当にどこに行ってもいました)、すでにいちジャンルとして定着した感があります。さすがにこれは女性限定で、日本の学ランやブレザーを着た男性は見たことはありませんが。

ブームとなった機序はよくわからないのですが、中国の学生服は国内外ともにダサい(ほとんどの学校がジャージです)と認識されており、そこに日本のアニメなどを通して見る楽しい学生生活への憧れや、経済発展による購買力の向上が重なった結果、多くの人が好んで着るようになったというのが大きな流れとしてあるようです。

あとは普通にアニメやキャラクターのコスプレをしている人が歩いていることもありますし(この前は香港行きの直通列車にまんま初音ミクの格好をしている人が乗っていました。香港ではどう受け止められるのだろう)、それに文句を言ったり、苦言を呈する人もほとんどいません。他人がどんな格好をしていようと、それは自由だという意識なのだと思います。

たぶん公共の場でどんな服を着るのか、どんな格好をしているのかということに関しては、中国のほうが日本よりも自由で、プレッシャーがありません。

こうした中国の、他人が何をやっていようと、どんな服を着ていようと自分には無関係で、「他人のことはほっとく」という中国のスタンスは嫌いではありません。

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ただ、中国でもほんの一部、それを着て外を歩くことにリスクが存在するジャンルの服があります。

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