「中国速度」の正体
さっき外を歩いていると、ショッピングモールの3階の窓から、鉄パイプのようなものが地面に投げ捨てられている光景を見ました。
鉄パイプは大きく、人が当たればタダでは済まない重量であることが一目でわかりました。地面に落ちるたびに、鈍い轟音が周囲に響き渡ります。いっぽうで、周囲に人よけのための措置(三角コーンによる仕切りなど)がされている様子はありませんでした。
鉄パイプが落ちている近くには、資材運搬用とおぼしきトラックが止まっていました。おそらくはモールのどこかに保管されていた鉄パイプを運び出すにあたり、階段やエレベーターを使って少しずつ運び出す手間を嫌ってそうしているのでしょう。
平日の午前中ということもあり、周囲に人はいませんでしたが、さすがに危険すぎる光景です。人よけもしていないし、万が一誰かが通ったらどうするんだろうと心配になりました。
僕はその光景を遠巻きに見ながら、そそくさとその場を離れました。
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「中国速度」という言葉があります。
もともとは近年の発展目覚ましい中国の高速鉄道を称揚するために用いられてきた言葉のようですが、中国における物事の進むスピードの速さや、トレンドの移り変わりの速さを肯定的な文脈で捉える際に用いられることもあります。
たしかに、中国で起こることのスピード感に舌を巻くことはあります。社会の急速な発展自体もそうですし、新しいものが導入されて流行するまでの速度感はとても日本では体験することのできないものがあります。
制度的なものでもそれを感じます。いつもコロナの話ばかりしているような気がしますが、ゼロコロナの中国で行われていたのは、日々変わるルールの変化です。昨日は何もなかった場所に一夜にしてバリケードが敷かれ、厳しい通行チェックが始まるなどしました。
メーカーに勤めていた時、部品や製造機器のサプライヤーに見積もりを出してくれとメールを出すと、ほとんどの場合即座に見積もりを返してきました。難しい案件を除いて、日を跨いで待たされたことはほとんどなかったように記憶しています。
これらのような物事の進みの速さは、「中国速度」といえるでしょう。
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ただし、これらの速度には副作用というか、裏もあります。
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