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それは本当に「嫁のため」なのか。離乳食をめぐる日中夫婦のすれ違い
うちでは中国人の嫁と夫婦二人体制で育児をしていますが、それでも時間が足りないと感じたり、大変だなと思うことがたくさんあります。
特に中国の人々は(僕から見れば悪い意味で)子育てに手を抜きたがらないところがあって、時短をしようとか効率化しようという考え方があまりないようで、その大変さが増している部分があります。
そんな中でもいま大変なのが、離乳食です。
離乳食は嫁の担当なのですが、毎回ちゃんと食材を用意して、切ってブレンダーにかけて……という作業を毎食分やっています。レンジで温める加工食品などはもってのほかで、できるだけ新鮮な食べ物を与えたいということのようです。
その心意気はいいのですが、毎回その準備に時間がべらぼうに時間がかかります。下手するとそれだけで30分、1時間使っていることも。かなり大きな負担に思えます。これから離乳食の頻度も増えるとなると、もっと時間を使うことになるかもしれません。
これはさすがに大変だろうということで、なんとか嫁の手助けをできることはないかと考え、僕は先日、冷凍保存用の小分けトレイを買ってきました。これなら一度にまとめて作って、食べたいときに解凍するだけなので、だいぶ楽になるだろうと思ったのです。
しかし通販で届いたトレイを見せ、嫁にプレゼンしてみたところ、あえなくこのアイデアは却下となりました。
理由は、「冷凍したものは栄養が落ちるから、できるだけ新鮮なものを食べさせたい」、「冷凍庫に長く置いた物を食べさせたくない」(不衛生な感じがするそうです)「自分は離乳食作りをそこまで負担だとは感じていない」とのことでした。
そして、「考えてくれるのはありがたいけど、何か助けてくれることを考えるなら、私の立場に立って、私がうれしいと思うことをやってほしい」という言葉を言われました。
正直、これを最初に聞いたときには、カチンときてしまったんですね。揉めるのは嫌なので平静を装い、「わかった」とだけ言って話を打ち切りましたが、内心はムカムカしていました。
新鮮さにこだわるのもわかっていたし、衛生観念が日本人と中国人の間で違っているのもわかっていたけど、まさかここまで頭が固いというか、これすら受け入れられないのかという驚きや呆れのような物を感じました。パンツを手洗いしなければならないことを聞いたときに気持ちに似ています。
何より、こっちは嫁の負担を減らす方法はないかと思って提案しているのに、そんな謎の観念(嫁にとっては謎ではないのですが)によってあっさり自分のアイデアを却下されることには、はっきりと怒りを覚えました。
しかし、少し時間を置いて考えてみると、嫁の言うことにも一理ある、と思えてくる部分もありました。というのも、よくよく考えると、離乳食の作業を負担に感じ、それを短くすることを望んでいたのは、嫁ではなく僕自身だということに気づいたのです。
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