中国語学習者を襲う「すお…ゆえん」現象
トップ画像にある「所以」という文字列。みなさんはどうお読みになったでしょうか。厳格なる日本語教育のもとに育った皆様の多くは「え、「ゆえん」じゃん。何言ってんだこいつ」と思われたかもしれません。
しかし、これを「suǒ yǐ」と思わず読んでしまった人もたくさんいると信じています。そうです、モニターないしスマホの前の、熱心な中国語学習者のあなたです。
文頭について「だから」や「そのため」のような意味を表す「所以」(suǒ yǐ)は中国語で頻出する単語です。そのため、普段から中国語に触れている人にとっては、日本語でもそうそう出てくることのない「ゆえん」と言う読み方よりも、「suǒ yǐ」が優先されてしまうのです。
たまに「これが彼を達人たらしめている所以である」などの日本語文を目にしてしまうと、「これが…ている…すお…違う、ゆえん、だ」という謎の手順を脳内で踏むことになります。
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「明白」という単語でも同じ現象が起こります。日本語読みはいわずもがな「めいはく」ですが、中国語では「míng bɑi」と読みます。日本語の「めいはく」と同じように「はっきりしている」という意味もありつつ、「わかる、理解する」という動詞として出現することが多い単語です。「明白了」で「わかりました」のように、しょっちゅう使います。
「彼が関係していることは明白だ」は、脳内で容赦無く「彼が…ことはみんb…違う違う、めいはくだ」という回り道を生成します。
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他にも、「要」という字。
中国語の読みは「yào」なのですが、動詞・助動詞的用法であまりにも頻出する字であるため、日本語にも「やお」という読み方があるのではないかと錯覚してしまうことがしばしばあります。
特にこのことを感じるのはキーボードで文章を書いているときです。日本語で「要」という文字を入力したいときに、「やお」と入力してしまうことがあります。画面には無常にも「八尾」もしくは「矢尾」が表示されます。ひどいときはそれでも気づかず、「あれ? なんで「要」が出ないんだろう」と首を傾げながらスペースキーを叩き続け、ふと気がついて恥ずかしくなったりすることまであります。
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以上、中国語を知らない人からすれば何を言っているかわからないであろうことを連々と書き連ねてしまいましたが、中国語に触れたことのある人ならきっとフルスイングで首を縦に降ってくれることと信じています。
フルスイング側の皆様におかれましては、他にもこんな単語や文字を中国語読みしちゃいました、などの体験をコメント等でお寄せいただければ幸いです。