有料化と緩和で、中国の「PCR検査狂想曲」は終わりを迎えるのか
11月に入ってから、中国のコロナ対策に少しの変化が起きているようです。
その変化とは、PCR検査の有料化と提示義務の緩和が各地で始まっていることです。
検査の一部有料化
前提として、いまの中国では多くの場所で何をするにも、どこに行くのにも直近(多くの場合24時間以内)のPCR検査の結果の提示が求められる、という現状があります。
昨日検査に行きそびれたから出張に行けなかったとか、昨日はここに入るのに提示が必要じゃなかったのに、今日から突然必要になっていた……などというように、人々はPCR検査に振り回されています。さながら「PCR検査狂想曲」の様相を呈しているのです。
ただ、PCR検査場は町のあちこちにあり、基本的には無料で検査が受けられます。人々は毎日のように時間をとってそこに並び、検査結果を得ることでなんとか生活できている、というわけです。
しかしこうした状況が、変化しつつあります。
この記事によると、四川省の貴陽市では先日、一部のリスク人員を除いてPCR検査を自費で行うべし、というように政策が変化しているようです。
貴陽市に限らず、地方都市を中心に類似の通知が出ているところがあるようです。
まだ始まったばかりで、実効性がどのようになっているのかは不透明ですが(SNSなどで情報を集めても、まだ目立った変化は確認できませんでした)、ともあれこれまで無料で受けられたPCR検査が有料化する流れが起きているのは事実なようです。
検査義務の緩和
もう一つの大きな変化は、鉄道や飛行機の利用の際にPCR検査結果の提示がいらなくなる、というものです。
これも地方都市を中心に、これらの交通機関を利用するにあたって「出発の際には」検査結果の提示を求めないところが出てきている、とのことです。
現実には市や省を跨いだ移動の場合、目的地での防疫措置がどうなっているのかわからないため、結局は移動にあたってPCR検査を受けなければいけないことには変わりはないと思われます。しかし、利用の際の手続きが一つ減る、ということだけでも大きな変化ではあります。
このように、11月に入ってからはPCR検査を取り巻く状況が、少しずつ変わりつつあります。
今日はこのことについて考えてみたいと思います。
狂想曲の終わりの兆しか?
普通に見ればこれらの措置は、現在は至るところで求められるPCR検査義務が、徐々に緩和されていく兆候であるように思えます。
前述したように、いまの中国ではPCR検査の結果がなければほとんど身動きが取れないような場所が多数にわたっています。
毎日の検査は一人一人にとってはそれほどの負担ではないにしろ、やはり面倒ではありますし、「やってるだけ」みたいな検査に人々はいいかげんウンザリしはじめてもいます。
しかし、上述したような措置により、これまで検査結果が必要だった場面での提示義務がなくなっていき、さらに有料化で「これからは必要な人だけが受ければいいですよ」というコンセンサスが広まっていけば、これまでのように人々が振り回されることは少なくなっていくのかも、と想像できます。
さらにはこういった地域を模範として、PCR検査をそれほど徹底しなくても感染が広がらない、防疫的に大きな問題がないという例が増えれば、PCR検査それ自体の必要性が全国的に見直されていく可能性もあります。
これらの動きは、「PCR狂想曲」の終わりの始まり、と捉えることもできるのかもしれません。
「もうやってられません」
いっぽうで、そこまで楽観的になれない要素も存在します。
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