処理水放出開始に対する中国の反応まとめ
昨日、福島第一原発の処理水の海洋放出が開始されました。かねてより強い反対の立場を示し、日本を非難してきた中国はさまざまな反応を見せています。昨日はその反応をずっと追っていました。
今日のマガジンでは、そうした反応をまとめます。いわゆる「ネットの反応」的なものにとどまらず、マクロ・ミクロでどんなことが起こったのかを具体的に書いていきたいと思います。よろしければご覧ください。
水産物の停止措置
まず大きな反応と言えばこれでしょう。日本からの水産物を全面的に停止するという決定が出ました。
先日のマガジンでは「そこまでやる確率は低そう」ということを書いたのですが、予想に反してこれを実行してきました。結構本気なのかもしれません。
ただ、これも改めて見てみると、中国への水産物輸出が占める割合は871億元と大きいものの、経済全体に与えるインパクトはそれほどでもないといいます。局所的な影響はもちろんあるのでしょうが、輸入品目もホタテやマグロなどに限られていますし、やはり数字から受ける印象ほど大きな影響はないのではないかと思います。これも先日のマガジンに書きましたが、水産物に関して日本は輸入国ですもんね。
おそらくは今後、日本国内で国産のホタテなどが安くなって消費量が増えるんじゃないでしょうか。
中国のほうでも、禁輸による影響は大きくないという分析が出ていました。基本的に国産の代替品があるということです。本物の日本産の魚を出す、客単価が1,000元(≒2万円)を超えるような高級日本料理屋に影響は限られるのではないか、とのことです。
総じて影響は小さく、中国政府による日本への嫌がらせの域を出ない印象です。
「こんなに危ない」という宣伝
同時に、メディアなどが盛んに日本を非難したり、処理水それ自体や、海洋放出という方法がいかに問題のあるものかということをひっきりなしに流しています。特に、処理水を長期的に摂取すると体に影響が出るという不安を煽るものが多いようです。
中国も原発処理水を海洋放出しており、そのトリチウムの濃度は日本よりも高いことはここ最近の報道でよく出てくる話題ですが、それでも中国が日本を避難するロジックは「メルトダウンを起こした燃料棒に直接触れた水だから」ということのようです。
また、「トリチウム以外の放射性物質が問題だ」「IAEAによる監査は不透明だ(=日本がカネを渡して検査を誤魔化している可能性がある)」などというロジックも目立ちます。このあたりは日本国内でも見られる議論です。
総じて科学的というよりはポジショントーク的な、非難が目的化したようなものが多い印象ですが、そうした報道の多さは人々の行動にもしっかり影響しているように思えます(後述します)。
塩が売れた
また社会的に大きな動きとしては、一部の地域で塩の買い占めが起こり、品薄となる事態が起きたことです。
塩も海水から作られるものであり、いまのうちに確保しておこうという考えの人が殺到したということです。
現実にはみんながみんな危機感を覚えて動いたというよりは、理由はどうあれ買い占めが起きて塩が買えなくて困ると思った人がいたことや、その動きに乗じて塩を高値で売って儲けようとした転売ヤー的な人間が発生したことによる連鎖的な反応でしょう。
これには当局側も困っており、買いだめを自制するよう通達せねばならない事態となりました。
人々のミクロな反応
ここからはニュースになるような、社会としてのマクロな反応ではなく、個人の人々がどう動いたのかを見聞きした範囲で書いていきます。
まず、ネット上はこの話題で一色になりました。報道などでかなり大きく扱われていることにより、多くの人の関心事になっているのがわかります。
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