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中国とテクノロジーと、倫理観と中国人と
2年ほど前ですが、中国に関するこんな記事が話題になったことがあります。
このニュースはよく読むと「人口子宮内の中で胎児を監視し、うまく育てるためのシステム」の開発が進められているという話であって、決して人口子宮そのものが実用段階に入ったとかそういうことではないのですが、日本のネットではすわ「ついに人口子宮の技術が実用化に!ディストピアの到来だ!」という盛り上がりが発生しました(実を言うと、僕も最初は誤解して騒いでいた中の一人でした)。
なぜそのような誤解が広まった(僕自身も読み違えた)のかというと、その大きな理由のひとつは、やはりこのニュースの大元になったのが中国での出来事だったということでしょう。「中国ならやりかねん」と、僕自身を含むみんなが感じたわけです。
少子化が猛烈に進んでいる(つまり人口子宮的なものへの需要がある)ことに加えて、中国はいわゆる西側的な人権思想に同意しておらず、生命倫理的な観点から他の国が禁止しているようなことでも、社会実験としてためらわずにやってしまうのではないか。そんなイメージが、誤解を加速させました。
実際、人口子宮はまだ現実的ではないにしても、生命に関することを完全にテクノロジーの管理下においてしまってもよい、という観念を中国での生活から感じることは多々あります。
あとは、そもそも一人っ子政策をやっていたことからも分かるように、独裁国家であり生命に関することにも国家が強く介入する可能性があることとか、宗教の存在が強く制限されており、倫理的な歯止めをかけるものが人々の間に乏しいということなど、「実在するディストピア」としての中国ならば、他の国では慎重になるようなことでも真っ先に実現してしまうのではないか、というイメージにつながっているのでしょう。
そのうち、攻殻機動隊よろしく体内に機械を埋め込んだり、脳髄をケーブルに繋いだりするSF的な未来が真っ先に来るのは中国なんじゃないか、という想像も捗ります。いまでも身分証とそれに紐づけた個人の管理統制が強く薦められていますが、そのうち脳内に埋め込まれたチップで人々の行動を制御して、政府に逆らえなくしてやろう……なんてことが起きるのではないか、とかね。
そんなテクノロジーが倫理を飛び越えた世界を想像されやすいのが、中国なのではないかと思います。
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いっぽうで、中国に暮らす人々のことを解像度高く知っていると、中国でもそこまですんなりコトが進むかな? とも思います。
中国の生命に関する倫理観は特殊であると書いたばかりですが、これもまた中国に独特な価値観として、生命に対する強い執着と警戒心というものもあるからです。
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