「ビターコーヒー味アイス」に見る、中国人の食嗜好の変化
街をぶらついていると、あるものに目が留まり、思わず買ってしまいました。タイトルの通り、ビターコーヒー味のアイスです。伊利という、乳製品メーカーの大手が出しているものでした。調べたら商品自体は結構前からあったようなのですが、個人的には初めて見ました。
なぜこれに目を惹かれたかというと、これってある意味で中国の食文化の変化を象徴するものだと思ったからです。
どういうことか、以下に説明します。
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まず、中国の人はコーヒーをあまり好みません。中国ではそもそも苦いものが得意ではない人が多く、わざわざ好き好んで飲む人は少なかったのです。たぶんだけど、「苦いもの=薬」という観念が強いのかな?
たまにコンビニなどで売っているネスレのミニボトルコーヒーなんかも、砂糖とミルクをこれでもかと加えた甘ったるいものです。中国に来た当初、「お、コーヒーあるじゃん」と思って手に取り、飲んでみて「なんだこれ!」と思ったというのが正直なところです。
ちなみに僕の嫁もコーヒーを飲まない、というか明確に嫌いです。どうやら「体に悪いもの」「刺激物」「そもそもおいしくない」という認識があるらしく、自ら進んで飲むことはまずありません。たまに僕がブラックコーヒーを買って飲んでいると、信じられないというようなリアクションをします。
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しかし中国全体としては、人々はどんどんコーヒーを飲むようにどんどん変わってきています。
近年、中国におけるコーヒー市場は右肩上がりで成長しています。この記事によると、市場規模はここ5年で5倍ほどになっており、今後もさらに成長が見込まれるとのことです。
推測ですが、その背景はコーヒー店の普及なのかなと思います。中国では家で自分でコーヒーを入れて飲むような文化はまだそれほど育っていませんが、いっぽうで街中でコーヒーの店を見かける頻度は急激に上昇しています。
チェーン店ではスターバックスがどこにでもありますし、対抗馬として知られる中国国産チェーンであるラッキンコーヒーも、巨額の粉飾決算によって米国市場での上場廃止に見舞われるなど一時期は醜聞が目立ちましたが、国内では相変わらず好調なようで、これまた至る所に店舗があります。その間を埋める様に小規模のチェーンや個人経営のカフェのようなものが乱立しており、どれもそこそこの賑わいを見せています。
中国においてはコーヒーは「日常的に飲むもの」というより、「店に行って飲む特別なもの」として定着しつつあるようです。上の記事によると、中国でのコーヒー消費量は一人当たり6杯/年と他の先進国と比べて大幅に少ないのですが(日本は279杯/年)、それでも大きな市場規模になるのだから、さすが中国です。
そんな中でコーヒー味のアイス、しかもわざわざ「苦咖啡」(ビターコーヒー)を謳うものまで現れているとは、どんどんコーヒーが受け入れられるようになってきているのだなと感じました。
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もう一つ、アイスクリームそれ自体もこれまで中国ではあまり歓迎されていなかったのが、近年では受け入れられるようになり、その市場を大きく成長させている食べ物です。
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