いろいろ話題のSHEINに、中国在住者が思うこと

いま若者の間で大人気になっている(これほどジジ臭い書き出しもないな)中国発のファストファッションブランド、SHEINがニュースを賑わせています。

圧倒的な安さと品揃えによって世界中で人気を集めているSHEINですが、その商品の中にはあからさまなパクリデザインのものや、品質があまりに低いものなども含まれており、たびたび批判の的となっています。

さらに、その生産体制への問題も取り沙汰されています。前々からSHEINの商品の生産を請け負う製造工場において、違法な環境や条件での労働が横行していることを指摘する声があります。こちらはイギリスのメディアが行ったという潜入調査をもとにした記事。

直近では、同社の製品に新疆ウイグル自治区で製造された綿が使用されているという話が出ました。同地区での綿花の生産には強制労働や人権問題が関わっているとされており、アメリカでは輸入が基本的に禁止されています。

にもかかわらず、アメリカにSHEINの製品が入ってきているのはどういうことだ、とブルームバーグが熱心に報道しています。というより、ブルームバーグが独自にこの調査を行い、この件への懸念を強く表明しているようです。

こうした動きもあってか、昨日は日本のTwitterのトレンドにも「SHEIN」が入っていました。その書き込みの多くは、SHEINの製品への不満を述べるものであったり、それこそブルームバーグの記事を受けて、SHEINの「人権侵害」への加担に憤りを示すようなものもありました。

SHEINに関するこれらの動きを見て、いろいろと思うことがあったので今回はそれについて書きます。

まことに中国らしいSHEIN

これらの話を聞いてまず思ったのは、SHEINの「中国らしさ」です。中国市場を持たずに世界を相手にしている企業でも、やはりそこには一定の中国らしさがあるのだなあ、ということを強く感じました。

こう書くと、多くの人は悪辣なパクリやルール違反を平気でやるという意味での「中国らしさ」を思い浮かべたかもしれません。

それもありつつ、僕が思ったのはそれとは少し違う角度での「中国らしさ」のことです。

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