「彩礼」(結納品)に見る、中国における時代の要請
M-SHANGさんのnoteが面白かったです。
いまの中国の現役世代、とりわけ社会に漕ぎ出したばかりの若者が抱えがちな悩みについて書かれています。簡潔かつ的確に書かれているので、ぜひ一読をおすすめします。
なかでも僕が気になったのは、若者の「結婚の悩み」に関するこの部分です。
いまの若者、特に男性は結婚に必要とされる家と車を準備できない、あるいは準備できたとしてもそこに膨大なお金を注ぎ込むくらいなら結婚などしない方がマシだと考える人が少なくありません。その結果未婚率は上がり続け、それにともなって出生率も下がっています。
しかしここでの指摘の通り、結婚に家や車が必要とされるようになったのは、わりと最近のことです。じゃあそれまではどうしていたかというと、それらとは別のものが結婚に必要なものとして採用されてきた歴史があるようです。
中国にはそもそも、「彩礼」と言われる日本でいう結納のような習慣が存在しています。すなわちカップルどうし、ないしは家どうしが結ばれたということの確約として、物品や金銭を送りあう習慣のことです。「我が家とあなたの家は同盟を結びましたよ」という確認の儀式です。結婚を個人どうしのものではなく、家どうしのものとして捉えていることから生まれた習慣と言えるでしょう。
そして、近代の中国において「彩礼」として求められるものの内容は、時代とともに移り変わってきたといいます。とある中国語の記事によると、結婚に必要なものは「三大件」として、各時代ごとにそれぞれ3つのモノが設定されてきたとあります。
その変遷はこんな感じだそうです。
これを見ると、「彩礼」が負ってきた役割のようなものがわかる気がします。
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