中国の若者、SNS時代の難しさ
今日はこんなニュースからです。中国のとある高校で、安倍晋三元首相の銃撃事件をパロディしつつ、日本の処理水排出を揶揄するという寸劇が行われた様子を捉えた動画がネットに出回り、議論を呼んだということです。
せっかくなのでX(Twitter)上にあったその動画を貼っておきましょう。たしかに「上演」後に、歓声が上がっているのがわかります。
元ニュースには「地元当局は、学校側に調査と状況報告を行うよう促した」とあります。中国のネットで関連ニュースを探しましたが、当局がこの寸劇のどのようなを問題にしたのかは語られていません。人の死をネタにしたのがアウトだったのか、高校生がやるものとして不適切だと思われたのか。日本を揶揄したことが主な原因ではないことは間違いなさそうです。
日本人としては、またゲンナリするニュースが聞こえてきたなあという印象です。
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このニュースを見て、個人的にはこの高校生たちが2つの意味でかわいそうになりました。
まず一つかわいそうなのは、この高校生たちは普段大人たちがやっていることを見て、その価値観を内面化したものを出しただけなのに、それで当局からの怒られが発生してしまったということです。
もちろん個人差はありますが、中国人のジョークや揶揄というのは、結構ドギツイです。テレビや映画などメディア方面では表現規制が厳しいのとは裏腹に、普通の人々の会話レベルでは「えっ、そんなこと言う……?」という言葉がしれっと出てくることも珍しくありません。
動画を見た時にも、個人的には「まあ、中国なら普通にあることだろうな」というくらいには思いました。
さらには日本への揶揄に関しても、普段からメディアがさんざん日本への批判を煽り立て、それを真に受けた大人がSNSに思い思いの形で「表現」し、その過激さを競い合っているようなものを見ていれば、「日本を攻撃しておけば大人にほめられる」と学んでも不思議はありません。
そのように、大人のやっていることをそのまま素直にやったら、大人に怒られてしまった。そんな理不尽な話もないでしょう。大人の欺瞞に押さえつけられた高校生たちに同情を禁じ得ません。
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もうひとつ、この高校生たちにとってかわいそうなのは、SNSがこの時代に存在してしまっていることです。
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