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「中国でハロウィン禁止」がちょいガチだったぽい件

先日、忙しい子育ての合間にX(Twitter)を見てみると、「今年は中国でハロウィンが禁止されてるらしい」という情報が流れてきました。

それを見た僕は、「まーた誰かがいい加減なこと言ってるよ」と最初に思いました。

というのも、毎年クリスマスの時期になると「中国ではクリスマスが禁止されている! 西洋のお祭りが弾圧されている! 習近平政権のもとで強まる思想統制!」という珍説が日本のメディア・SNSに流れるのです。

ただ、これらの「クリスマス禁令」は実際にはほとんど実効性を持たず、近所のめんどくせえオッサンがちょっとめんどくせえことを言い出したレベルの話でしかないのが常で、明らかに過剰に伝えられている感が否めません。

「ハロウィン禁令」に関しても、たぶんそうした珍説のひとつだろうと最初は思いました。そもそもハロウィンは中国ではメジャーではないし、禁止にする意味もあまりないだろうに、またどこかの中国の悪口を言いたいだけのメディアとか、悪ノリした反体制中国人が「中国はディストピア!」的な怪情報を撒いているだけだろうと思っていました。

しかし、その後も同じ情報が流れてくるので一応調べてみると、今年はどうやら上海市で本当にハロウィンに対する締め付けが一部で起こっていたということを知りました。

僕は全然キャッチアップできていなかったのですが、実は上海では去年くらいからハロウィンの仮装が盛んに行われるようになっており、その中には政治的な風刺と捉えられるようなものがあったようです(ゼロコロナの時の防護服を着た防疫人員(中国語で「大白da bai」)とか、魯迅のコスプレで「医学で中国人は救えない」と掲げた人とか)。

上海は中国でも最先端の都市、かつ国際都市でもあり、いうなれば中国において「リベラルな」人がもっとも多く集まる場所です。そういえばゼロコロナの末期、「白紙運動」と呼ばれるような抗議運動が最初に大きく盛り上がったのも上海でした。

体制に疑問を持つ声も、上海では集まりやすいという背景がまずあります。

そんな上海の土地柄と、昨年のハロウィンの様子を鑑みて、今年はどうやら当局や各地域の管理層が先手を打って動いたようです。

ハロウィンに先駆けて、一部の社区(町内会に近いが、日本の町内会よりは権限の強いコミュニティ)や警察からは、「コスプレをした人間に外を歩かせないように」というお触れが出ていたと言います。

そしてハロウィンの当日になっても、コスプレをした人が警察や城管(準警察機関)に注意を受けたり、連行される事態が起きていたようです。

あくまで上海で起きたことであり、他の土地での例はいまのところ聞こえてこないのですが、どうやら今年の「ハロウィン禁止」に関しては、部分的にはまあまあガチな(実際の強制力を伴うものとして)実行されていたということになります。

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以下、このことに関する雑感です。

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