中国的「役得」が招くかもしれない、最悪の未来予想図
先週のnoteで、こんなことを書きました。
今日はこの部分を掘り下げていきたいと思います。
「そういうことね」
本題に入る前に、少し昔の話をします。
とある日系の工場に勤めていた時に、地元の環境局の人が監査に来たことがありました。ちょうどその頃中国では全国的に環境保護の機運が高まっており、各地で製造業への規制が強まっていました。
それまでにも環境局の監査は来ていましたが、特に真面目に何かを見ることもなく「なあなあ」で帰って行くのが常でした。しかしその時は、やたらに細かい注文をいっぱいつけてきて、どこそこを改善しなさい、1ヶ月以内にやってなかったら操業停止ね、とやってきました。それまでにも同様の問題はあり、何も言っていなかったにもかかわらず、です。
まあこれまでが「なあなあ」で見過ごされてきただけだししょうがないか、と対応を進めていると、今度はその環境局が「換気フィルターの設置にはこの業者を使え」的なことを連絡してきました。
自分たちで業者を探しているから必要ないと伝えると、国に認定された業者でなければいけない云々と文句をつけてきました。最終的には、その業者を使わなければ営業許可は出さないと言っているようでした。
ああ、そういうことね……と悟りました。その後社内では多少揉めましたが、結局は向こうの言う通りに、指定の業者に工事を依頼した記憶があります。
「これが中国なんだよな」
最近も、こんな話を聞きました。
教育関係のサービスの会社をやっている友人が、自社の宣伝のためにSNSアプリを活用していました。そのアプリは中国では誰もが使っているアプリで、その運営会社も有名な超巨大IT企業です。
ある時、そのアプリを通して商品を売る場合に、プラットフォーム側からの「認証」が必要だという通知が来たそうです。運営側がそういうなら仕方ないので、その「認証」のための手続きをあれこれ試しますが、何回やっても審査に落ちてしまいます。
どうしたものかとサポートセンターのようなところにメールを送ると、担当者とのチャットに誘導されました。そこであれこれやりとりをしていると、結局向こうが「1,000元払ってどこそこに依頼すれば、認証を通してやる」というようなことを言い出したそうです。
その友人は、天下のテンセントのサービスでもこのようなことが起こるのかということに憤りを見せた後、少し寂しそうに「これが中国なんだよな」とポツリと漏らしました。
内面化された「役得」
関係ない話を延々としてしまったようにも思いますが、ここで言いたいのは、こういうことです。
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