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煙たい朝、忙しいコーヒー屋、それぞれの年明け
時間を問わず訪ねてくる有象無象の親戚に睡眠ペースを乱された我が子が、永遠とも思える寝かしつけの時間を経てようやく眠りについたのは、中国の大晦日が明けてから2時間半ほどたった頃だった。
そこから嫁の足をマッサージしてさっさと眠りにつかせた(さっさと寝てもらわないと、明日またイライラして八つ当たりされるので)。僕自身はというと妙に目が冴えてしまい眠れず、ChatGPTに生成させた英文を死んだ目で読む1時間を経て、ようやく床に着くことができた。シャワーを浴びていないような気がしたが、義実家でシャワーを浴びるのはそれはそれでストレスフルなので、気にしないことにした。
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そして、朝6時に爆竹の音で息子ともども起こされた。「孫(僕の息子)が起きないように見てあげて」という義父母。優しいことだ。爆竹を鳴らす前に言ってくれればもっとよかったんだが。
あわれ初夢から叩き起こされ、喉が枯れるほどの大声で泣く息子をまた抱きかかえてゆらゆらと揺れること1時間、なんとかふたたび眠りについてくれた。このタイミングでのっそりと起きてきた嫁に息子を託した僕の目は、またもこれ以上ないくらいギンギンに冴えていた。
仕方ないのでパソコンで作業をしてみるが、脳と体が休まっていないせいかどうにも捗らない。気づけば、家の中は静寂に包まれている。さっき爆竹を鳴らしたのはなんのためだったのか。それを聞く人もいない。
これ以上苛立ちが募る前に、僕はパソコンの画面を閉じ、「やってられるかボケ」と関西みの強い日本語を誰にともなく吐き捨てながら、靴を履いてふらりと外に出た。スマホの時計は午前7時半を示していた。
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新年の街並みには、煙の匂いが充満していた。白みがかった風景は、朝の空気のせいが1割、爆竹の発する煙が9割のようだった。目に沁みる煙をかきわけて歩くと、そこかしこから紛争地帯のような爆竹の音が聞こえる。たまに「バン!」という不発弾(?)が爆ぜる音が近くでして、寒さで縮んだ体をさらに縮こまらせる。
ふらふらと歩くものの、目的は見当たらない。そもそもなぜ外に出てきたのかもわからない。どうせなら寝れないなりに、家でじっとしてればよかったんじゃないのか。冷静な判断ができてない自分に、結局は苛立ちが募った。
どうにか目的をひねり出し、自分が外にいることを正当化するために、「そうだ、コーヒーでも飲もう」と自分に言い聞かせた。そして地図アプリで近くのコーヒー屋を検索した。ヒットしたチェーンのコーヒー屋がいまもちゃんと営業しているのを確認したうえで、僕はそこに向かうことにした。
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