他者への寄り添い方なんて、僕らはこれっぽっちもわかっちゃいない
こんなニュースに非難が集まっていました。
とある町の福祉会が、平和を願ってウクライナ大使館に千羽鶴を届けようとしているというニュースです。Twitterで僕が見た限りでは、「意味がない」「むしろ迷惑だ」「自己満足だ」という批判の声が多数上がっていました。
たしかに、この行動に送り手たちの気持ちが満足する以外の具体的な意味があるとは思えません。大使館も、むしろ送られても邪魔なのも確かでしょう。その意味で、Twitter上で違和感を唱えていた人の気持ちも理解はできます。
しかし一方で、じゃあ他者にとって何が役に立つかとか、何がうれしいかを想像してその行動を正しく取ることって、そんなに簡単じゃないのでは? ということを考えると、あまり騒ぐ気にはなれませんでした。
今日はそんな話を書きます。
中華料理屋にケチをつける中国人義家族たち
以前、中国人の義家族たちを日本へ旅行に連れて行った時のことです。
中国の人々は若者はまだしも、年配世代の人は意外にも食に保守的で、あまりいろんなものを食べようとしてはくれません。そのため、食事の手配が大変でした。せっかくだから日本らしいものを……とか思っても、あまり喜んではくれないのです。
何度かの失敗を経たのち、もうしょうがねえやと中華料理店(しかも義家族の出身地の料理を看板に掲げているところ)に連れていきました。ここなら文句ないだろ……と思っていたのですが、そこも後から嫁を経由して聞くところによると、あまり評判はよくなかったようです。
料理の味やラインナップには特に問題はなかったらしいのですが、では何がよくなかったのかと聞くと、「水(いわゆるお冷や)に氷が入っていて、常温じゃなかったから」。
中国の人々は何よりも冷えを嫌うので、冷たい水を飲みたがらないのです。それを聞いた時は「ここまできて、そんなことにケチつけんなよ」「その場で言ってくれよ」という怒りも正直ありましたが、のちに冷静になって、「でも彼らからすれば「そんなこと」じゃないんだよな」と少し思いました。
「日本料理屋」に連れて行ってくれようとする中国人スタッフたち
話は変わって、ある日本の自動車部品の製造企業に勤めていた時のことです。
その日は、ある日本の大企業(完成車メーカー)の偉い人が、翌日の視察のために夕方から前乗りしてくる日でした。当然のように、食事接待が必要になります。
僕は所用で立て込んでいたので、その食事の手配を中国人のスタッフに任せていました。するとスタッフが予約してきた店は、「日本料理屋」でした。スタッフいわく相手は日本人なので、日本のものにした方がいいのではないかと考えたようです。
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