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筋肉のリリースだけでは姿勢不良は治らない~感覚統合編~

前庭覚だけトレーニングしても日常の姿勢制御にはほぼほぼ役に立ちません。
前庭覚はあくまでも「加速と平衡感覚」を感知する器官であり、四肢の位置など自身の身体の位置は把握できません。

ここが前回質問させていただいた「バク転とバク宙」はどこでその違いを判断しているかという答えになります。

前回の記事⇩⇩⇩



人間の感覚器には前庭覚のほかに皮膚や筋肉、骨、腱、靭帯、関節から得る表在感覚や深部感覚などの体性感覚視覚によって自身の身体の位置を把握しています。

体性感覚や視覚によって自身の体幹や四肢の位置を把握しているのです。

そして、これらの感覚器が統合されることで初めて姿勢を保っているのです。


姿勢の制御には前庭覚の活性化+これらの感覚器の統合が必要になります。

『姿勢のコントロールにおける4つの統合パターン』

姿勢のコントロールに関係する前庭覚の統合パターンは主に4つあります。

●前庭ー自律神経系
●前庭ー脊髄系
●前庭ー動眼系
●前庭ー皮質系

●前庭ー自律神経系

無意識下で筋のコントロールを担う機能のことで、姿勢や運動の方向によって筋の出力をコントロールしています。

前庭ー自律神経系にエラーが起こると立っているだけなのに首が緊張してしまったり、寝ているのに歯ぎしりをしてしまったり、腰が反ってたりしてしまいます。

これは姿勢ごとに各筋肉の出力がコントロールできていないことによってエラーが起こっています。

前庭ー自律神経系の調整には様々な姿勢で自律神経をコントロールする練習が必要です。

非日常的な姿勢で呼吸を用いて自律神経のコントロールを行う「ヨガ」なんかがオススメです。

●前庭ー脊髄系

「前庭覚」と頸部周囲筋群の「体性感覚」によって頭部と体幹の位置の決定を担っています。

頭部と体幹の位置関係はパフォーマンス発揮や姿勢制御において非常に重要な要素です。

「寝ている状態で顎を上げた状態で起き上がってみてください。」

どうですか?おそらく多くの方々起き上がりづらかったと思います。これは起き上がるという運動に対して頭部と体幹の位置関係にズレがあるからです。

クランチや体幹トレーニングで首が過度に疲れてしまう人は前庭ー脊髄系の統合がうまくできておらず、頸部周囲筋群が過緊張を起こしている可能性が高いです。

前庭ー脊髄系のエクササイズは頭部と体幹の位置をコントロールしながら動く「グラウンドムーブメント」がオススメです。

小学生の頃体育の授業で行ったマット運動の前転や後転、手を使わずに横に転がる動きなどもグラウンドムーブメントになります。

●前庭ー動眼系

「前庭覚」と「視覚」が協調されることによって姿勢をコントロールしています。

スポーツでは相手の動きや状況を視覚で判断し無意識下で姿勢をコントロールしています。

前庭ー動眼系のエクササイズとしてはリアクショントレーニングなどがオススメです。

中心視や周辺視、瞬間視などを用いながら運動を行うことが大切で、球技はこの要素がふんだんに盛り込まれているので、休日のアクティビティとして友人集まってフットサルやバスケットボール、野球などの球技を行うのもオススメです。

●前庭ー皮質系

前庭ー皮質系は四つの中で唯一、随意的に(意識的に)姿勢をコントロールする役割を担います。

スポーツでフォームを学習する時なんかがまさに「前庭ー皮質系」によって調整されています。

姿勢改善の内容とは少しずれてしまうため詳細についての説明は省かせていただきます。

『まとめ』

姿勢改善をするのに前庭覚の活性化だけでは不十分です。

日常の姿勢改善するには主に以下の3つの統合が必要になります。

●前庭ー自律神経系
●前庭ー脊髄系
●前庭ー動眼系

接骨院や整体に通うのもいいですがほぐしたら正しくコントロールするトレーニングも行いましょう。


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