料理をより美味しくする料理説明について 食材の付加価値編
料理説明は、レストランの評価を左右する大事な仕事です。私は料理の味、質などと同等に大切なものだと思っています。
それぐらい大切な料理説明ですが、実際は技術的に教わることが少ないです。どうしても実践で洗練させながら個人がブラッシュアップしていくという領域で、マニュアルなどがなく教えづらいといことが背景にあります。
この記事ではそんな料理説明を徹底解説していきたいと思います。
これから飲食業で個人のスキルを磨いていきたいという方や、飲食店の開業を行う方のお役に立てれば幸いです。
前回記事の振り返り
前回の記事では、基礎の基礎を解説しました。まだお読みでないかたは、まずはこちらからご覧ください。
料理説明に限らずですが、基礎あっての応用です。基礎がないと何も始まりません。
例題の確認
前回の記事では、カツオのカルパッチョの料理説明を例題にしました。
まずは、基本通りに料理説明をすると
「カツオのカルパッチョです。カツオの表面は炙っています。レモンのドレッシングで仕上げています。ドレッシングとよく絡めてお召し上がりくださいませ」
これぐらいが最低限の料理説明です。
ただし、情報が少なすぎるというところで前回の記事は終了しました。
今回の記事では、情報を整理して料理説明を修正していきます。
食材の付加価値を伝える
料理説明には様々なパターンがありますが、今回は食材の付加価値を伝える説明を解説します。
今回の例題でいうところの食材とは「カツオ」です。
まずは、メインの「カツオ」で考えます。私の住んでいる和歌山県南部では、カツオが有名です。特に4月〜5月にかけては「もちガツオ」と言われるカツオが出回ります。このもちガツオだと仮定して、料理説明にします。
カツオのカルパッチョです。このカツオは「もちガツオ」といってこの時期にだけ食べることのできるカツオです。もちガツオはカツオの種類ではなく、とにかく新鮮なカツオで、本日水揚げされ、先ほど入荷されたばかりのカツオです。新鮮で身がしまっておらず、お餅のような食感であることからその名があります。また、天候が悪く漁に出れないと水揚げされることもないので、いつつでも食べれる訳ではありません。本日は大変良質なもちガツオが入荷しましたので、素材の味を活かすカルパッチョでご用意していおります。レモンドレッシングで仕上げております。どうぞそのままお召し上がりくださいませ。
徐々に料理説明らしくなってきました。この場合のポイントは「もちガツオ」の特徴説明です。説明すべきは、お餅のような食感で「モチモチ」だから「もちガツオ」と呼ばれる点と、毎日水揚げされるわけではないので希少価値があるという点です。
料理説明は正解があるわけではないので、人によって無限大にパターンがあると思います。同じ料理説明ですが、いくつかのパターンをご紹介します。
①お客様に質問をするパターン
【最初に質問】本日の前菜はカツオのカルパッチョです。〇〇様は「もちガツオ」をご存知でしょうか?
【知らない場合】このカツオは、もちガツオといって地元の名物です。とにかく新鮮なカツオです。先ほど入荷したばかりのカツオで、食感がお餅のようにモチモチとしていることからもちガツオと呼ばれています。この時期、この土地でしか召し上がることのができないカツオです。レモンのドレッシングで仕上げております。どうぞお召し上がりください。
【知っている場合】では細かな詳細は不要ですね。今日も新鮮なもちガツオが入荷しましので、カルパッチョでご用意しております。レモンのドレッシングで仕上げておりますので、どおうぞお召し上がりください。
このパターンは、知っているお客様に詳細を説明しなくて良いので時短にななります。また、知っている人に改めて細かく説明すると鬱陶しがられますが、その見極めを最初の「ご存知でしょうか?」の一言で見極められます。
また、知らない場合はもちガツオに対しての興味を駆り立てることができるので、お客様が自然と料理説明に集中してくれる環境を作ることができます。
このパターンは私のホテル時代に多用している得意パターンの1つでした。知っていても、知らなくてもその後の説明をうまく運ぶことができるのでオススメです。ぜひ一度使ってみてください。
②印象的なキーワードで満足度を向上させるパターン
カツオのカルパッチョです。〜もつガツオの説明〜(中略)天候、漁の水揚げ状況などの「巡り合わせが良くて初めて召し上がることができる逸品です。」
旅行で遠方からご来店されているお客様に対して、特に効果的な言い回しです。自分たちではコントロールできない天候などの条件を、クリアして初めててべれる食材であるということを伝えます。
簡単にいうと「めちゃくちゃラッキーですよ」という事を「巡り合わせ」という言葉に変換してお伝えしています。
③メインだけでなく脇役も光らせるパターン
続いて脇役にも目を向けてみます。この例題の場合は「レモン」です。このレモンに付加価値をつけましょう。
例えばレモンの産地で〇〇産のレモンと伝えるだけも印象は変わります。地元の農家産が作ったものであれば絶対に伝えるべきでしょう。
地元の契約農家産が地元の土とお水で育て上げた新鮮なレモンを、ドレッシングにしてカツオをと合わせています。などと説明ができると効果的です。
加えて味の特徴で普通より甘いのか、酸っぱいのか?の違いななどをより具体的に伝えれるとなお良しです。
ただし、脇役の説明には注意点があります。あくまで脇役という事です。
例えば、今回の例題でカツオ詳細説明をせずに料理説明すると・・・
カツオのカルパッチョです。レモンのドレッシングで仕上げていますが、このレモンは地元の契約農家さんが無農薬で育て上げてレモンで、酸味が少な猪が特徴です。優しい味に仕上がっています。どうぞお召し上がりくださいませ。
一見すると良さげに見えますが、この説明はNGです。レモンを食べて欲しいのかなと思います。あくまでメインはカツオです。メインの説明があっての脇役説明という事を忘れないようにしましょう。
また、これは別記事で詳しく解説する予定ですが、説明順も重要です。やはり先にメインの食材を説明するべきです。複数ある場合は別ですが、基本的にその料理のメインとなる食材は先に説明したほうが、お客様に伝わります。
これは普段の会話や何か説明をするのと同じです。話が下手な人は、結局何を言いたいのかわからないです。こんな人に出会ったことはないでしょうか?多くの人は心当たりあると思います。
これと一緒で、この場合はまず「カツオ」を使った料理ですよという事を伝えていかなければなりません。まずは結論を述べて、そこに付加価値をプラスしていくイメージを持ってください。
まとめ
今回は食材の付加価値の付け方を説明しました。基本的には〇〇産と伝えるだけで印象は変わります。ただし、上手な料理説明は、なぜ〇〇産を使うのか?や〇〇産だからどういう味にや特徴があるのか?を説明することが必要という事をご理解いただけたと思います。
この記事をお読みいただいた方は、今日からでも実際の料理説明で実践してみてください。料理説明は実践を積み重ねる事で初めて上達します。
この記事が飲食店に就職したてで料理説明に課題を感じている方や、料理には自信があるけどサービスに課題を感じてらっしゃる飲食店店主様のご参考になれば幸いです。
料理説明は後何パターンか記事にしますので、ぜひご覧ください。
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