隣り合わせの廃と青春44 「Forever」〜リッチ〜①
傲慢の塔の81+層。
テーマは「Forever(不滅)」。
この階層は凄い。
何せ、TOIの低層のボス達がマイナーチェンジして雑魚敵として出現するのだ。
しかも、マイナーチェンジといっても弱くなっているわけではない。ロックマンの復活ボス(※1)もびっくりである。
※「パートゼニスクイーン」、「シアージュニア」、「マーキスバンパイア」、「フィアゾンビロード」。
どのモンスターも非常に危険。ステータスはフロアボスとして出現する時とほとんど変わらない。
中でも特に危険なのは「シアージュニア」。画面端から端までを射程とする「シアースプレッドビーム」による遠距離魔法攻撃と、異様な移動速度でこちらを追いかけ回してくる。間違いなくこのフロアを象徴するモンスター。
(※1) 不朽の名作「ロックマン」シリーズでは、最終ステージの直前で、これまでに倒したボスがラッシュで出現するというエリアがあるのが定番。
さて、少なくともこの時代に、このフロアで狩りをするグループは滅多にいなかったと思う。
何しろ、危険すぎる上に不味すぎて、狩場としての体を成していないのだ。
1体1体が低層のボスクラスの強さを兼ね備えているのに、DROPは基本的に空。
たま〜に呪われた防具強化スクロールを寄越すくらいで、91+スクのドロップ率は極悪。
しかも数が狩れないから経験値も全然貰えず、複数同時に相手しようものなら簡単にキャラが死ぬので、気も抜けない。
マイナスの要素はまだある。90Fまでたどり着くのも一苦労なのだ。
特に、84Fと88Fに関しては、召喚スイッチでシアージュニアが2匹ポップされるという鬼畜の仕様となっており、不慣れなパーティーは90Fを踏む前に壊滅することも日常茶飯事。
世界終焉憂鬱氏の話じゃないが、こんな場所で狩りをするなんてアホのすることだと思う。
ではどうなるかというと…?
ご明察。必然的に戦略②のサーチアンドデストロイ・ボスダッシュ大会の会場となるということだ。
このフロアはまともに狩りをしているグループなどほぼいないので、当時は山のようにポーションを持ったナイトが定時で見回り、ポップしたリッチだけ狩ってすぐ離脱するというスタイルが一般的だった。
ちなみにボスタイムの大部分の時間は、見回り続けたらポーションが持たないので、目立たない場所にキャラを置いて休憩する。
ついに私がこのフロアに常駐出来るようになった頃、カノープスワールドの90層は、黙殺勢力(一応Storm)の砂鬼と、犬彦勢力のRac03/柳生改くらいしかいなかった。
利権を争う者同士がこのフロアで集うとどうなる?
今度は意図的なMPK合戦が始まる。
シアージュニアやフィアゾンビロードを誘導して、休憩中の相手にぶつけるのだ。
なお、別にMPKをするつもりがなくても、このフロアまで行くと、モンスターの習性や仕様の把握は当たり前に必要な知識である。
拙い絵で申し訳ないが、こういう誘導などを行い、モンスターを嵌めたりするのは基本である。
なぜこんな回りくどいことをするのか。
流石に直接的な武力行使(すなわちPvP)を開始してしまえば、こんな地獄のようなフロアで総力戦を行わざるを得ない。
それは、そこにいる誰もが望んでいなかったのだろう。面倒だし。
だから、「偶然こうなってしまったんですよ、わざとではないんですよ」と苦しくも言える範囲で相手を排除するMPK文化が出来上がり、日々底意地の悪い戦いを繰り広げていたというわけだ。
それにこのフロアくらいになると、別にMPKをするつもりがなくとも、結果としてMPKになってしまったりすることがある。
最早言うだけ野暮って話どころか、言い出せばそれは「あなた達には悪意があるので許せない。一戦交えましょう」と宣言するのと同義ということだ。
このフロアは、個人的にリネージュで最も好きな場所だった。
復帰後1番いた狩場は間違いなくここだろうし、ここはリネージュでは珍しく、スキルや判断力が生き、少しの工夫で大きな差が生まれる場所だったと思う。
最後に、何故こんなクソの塊みたいなフロアで、MPK合戦をしてまで居座りたいのか。
それは、このフロアがTOIの利権の中心だからである。
1つには、これより更に上の91+層にアミュで移動するには、90Fの特定の場所に行かなければならなかったこと。
つまり、90層を抑えれば、91+層に行くキャラを逃さず監視出来るということである。
そしてもう1つは、リッチというボスが旨かったからに他ならない。
次回は、フロアボスであるリッチを中心に説明していきたいと思う。(長くなってすみません)