隣り合わせの廃と青春36 Re:
TOIを攻略すると決意はしたものの、今のままのカイザードシリーズでは流石に役不足感は否めなかった。
いかに最強クラスのDEといえども、流石にレベル50も達成していない状態ではTOI攻略など夢のまた夢だ。
じゃあレベルを上げれば良いじゃん?と思うだろうが、そんな時間も勿体無いくらいに、私は一刻も早くTOIに登りたかった。
ちなみに、引退前の私はリネージュの「レベル上げ」そのものが好きだったが、復帰後の私にとって「レベル上げ」や「狩り」は手段でしかなくなっていた。
リネージュというゲームは、当時はレベル上げやキャラ強化そのものが目的となっていたが、私は真逆をいっていたようだ。
こうなった心境の変化には、ローグライクゲーム(不思議のダンジョンや変愚蛮怒等)をやり込んだことも理由にあったかもしれない。
そこで考えを巡らせた結果、あることを思い出した。
そういえば、引退にあたって私は装備は全て売却したが、キャラクターは残していたな、と。
しかも、売却不能な武器「デスブレード」(※1)もしっかり残していたな、と。
当時オーバーエンチャントで蒸発させなかった私、偉いじゃん。
つまり、やろうと思えば、一応引退前のキャラクターで復帰出来るような状況にあったのだ。
(※1)レベル50達成者のみが入手する事が出来る武器。ツルギに近いステータスを持つ剣が無料で手に入るということで、当時はなかなか評判が良かった。ちなみにこの武器は他人には譲渡出来ず、倉庫にも入れられない。結構重いのでガチプレイヤーはオーバーエンチャントして蒸発させていた。
ネタキャラカイザードナンバーズを育て終わり、ファイナルバーンによるネタ行為にも飽きてきた頃。
魅力的なダンジョンTOI、そしてもっと魅力的な、それを取り巻くワールドの情勢。
加えて、エピソード2で実装されたと思われる、レベル55以上の新しい高レベル用変身もなかなか魅力的に映った。
※「ダークナイト」変身。デスナイトより更に攻撃速度が速い。結構カッコイイと思う。
いくつもの条件が重なり合った結果、私はTOIの登場を目指し、当時のキャラでリネージュを再開することに決めたのだ。
話は変わるが、大学生になったこともあり、今までリネージュをやっていなかったリアル友人が新たにリネージュを始めていた。
2人とも、未だに親密に付き合っている、生涯の友である。
1人はAと言う。小学校の頃からの友人で、非常に頭が良い。
高校は進学校に行ったため、大学受験のためにリネージュはやっていなかったが(非常に賢明である)、ずっとやりたかったとのこと。
リネージュは大学生になってから始めたようで、「アデン地下世界3」血盟を運営していたらしい。(ちなみに私はノータッチ)
もう1人はTと言う。Aの紹介で知り合った(Aの高校の同級生だった)ため、大学生になってからの付き合いだが、非常に気が合い、よくつるむようになった。
確か彼は例のカイザードの話に乗って、リネージュを始めてくれたような気がするのだが、その辺記憶は定かではない。
復帰したはいいものの私には装備はほぼ残されておらず、残ったキャラもこの時代となっては大したことのないレベル(確か54位)だった。
じゃあどうやってリブートしたのか。
エピソード1で実装された「夢幻の島」という狩場があった。
この狩場は経験値が入らないものの、死んでもデスペナルティがつかず、そこそこのアデナと武器/防具強化スクロールがドロップする。
そして何より頻繁に湧く四大元素の大精霊というボスモンスターのおかげでなかなか稼ぎが良かったのだ。
※大精霊達。こいつらは30分ごとにポップされる上、ボスとしてのドロップがあるので、大変嬉しい存在だった。経験値は稼げないけど。
ここに、奇妙な偶然が重なる。
友人Tのリアルフレンドがリネージュをプレイしていたのだ。
その名は「パレス」氏。しかも彼はレベルが52を超えるウィザードだったのだ。
経緯はこれまたよく覚えていないが、パレス氏はStormに入ってくれて、私の狩りにも付き合ってくれるようになった。
前述の夢幻の島でのペア狩りもよく付き合ってもらったものだ。
私は夢幻の島の稼ぎとカイザードシリーズのために用意した装備を売却したアデナで、なんとかかんとか装備を整えた。
そしてレベル上げの故郷である火山に出戻ったり、パレス氏と懐かしの「忘れられた島」に行ったりして、レベルも55まで上げた。
こうして、出会いと機会に恵まれた私は、TOIの攻略に向けて順調に準備を整えていったのである。