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私の残りの人生は全部エピローグ
一度だけ、生きるのを本気でやめようとしたことがある。
うつ病になって4年目で、このきつさを受け流すことには慣れてきたつもりだったけど、ある日今冬に本当に無理な日があった。
どれくらいの時間かわからないけど泣き叫んで、だんだん呼吸ができなくなって、手足が痺れて冷たくなってきて、何も考えられなくなった。
母の介助のおかげで呼吸が落ち着いてきてしばらくぼーっとしながら横になって、右目の涙が左目に伝って、手足が冷たいのを感じたときに、ふと自然と「もういいかな」って思った。
それなりに幸せだったし、それなりに友達もできたし思い出もできたし、もうこれで十分じゃないかって思った。
「もうやめてもいい」と自分を許したらすごく心が軽くなって、「もう大丈夫なんだ、わーい!」って頭がふわふわして、この状態ならなにしても楽しいしなんでもできる気がした。
でもふわふわした頭でも隅の方に母の存在があって、私がいなくなって母が悲しむのは想像できてしまった。それは嫌だなあと思った。
本当にそれだけ。それだけが心のつっかえになって、私はまだ生きている。
正直あの日に自分は一度死んだと本気で感じていて、今生きている感覚としては「人生の本編は終わっていているのになぜか長いエピローグがだらだら続いている」という感じがする。そしてそれが気楽で意外と楽しい。
もう本編は頑張って完結させたし、このエピローグもいつか適当に終了すると思うと、どこか好き勝手に生きられる気がする。
ずっと、輪郭がはっきりした夢を見ているようだ。そしてこれからの展開を自分で選択できる夢。
たまに、ふとしたときに自分が「生きる」を続けていることに驚く。
私はあとすこし、まだ、ずっと、これからも、生きるんだろうな。