価格戦略を知る者が「利益」を制す #1|プライシング
「第1章 プライシングと消費者心理」を、主観的にまとめています。価格戦略上、重要なポイントをさくっと理解したい人におすすめです。
第1章 プライシングと消費者心理
ポイント
・ 実際の商品価格と「消費者の認識する価格」は異なる。
・ 顧客と長期的な関係性を築くには、商品を利用してもらうことが肝要。
・ 消費者は、支払いを意識すると、サンクコストであっても、対価を得ようと行動する。
消費を促す価格設定
「消費者の認識する価格」を見えにくくするために以下を調整できる。
支払いタイミング 直前>直後>事前>事後
支払い手段 現金>カード>自動引き落とし(月賦払い)
一括払い シーズン入場券、年会費・月会費、定期購読など「単価」をわかりづらくする
試用価格 無料等で利用を開始できる量や期間を設け、障壁を下げる
会員価格 会員登録等によりポイントや特別価格を提供し、「単価」をわかりづらくする
商品の利用を促す価格設定
「消費者の認識する価格」を意識させることで利用を促す。
消費を促す価格設定の逆に調整する
価格の内訳を提示する
事後の自動引き落としでも、決済タイミング等に、金額内訳を顧客に通知することで支払い価格を認識させる。
例)ジム|月会費の引き落としを、前月末に翌月の何回分の利用に対していくらが払われるのか、当月に何回の利用があったかなどを通知する。
ボリュウムディスカウントする場合も、内訳と単価を明示する。
例)レストラン|コースメニューを構成する料理をアラカルトでも提供し、顧客がコースに含まれる料理の単価がわかるようにする。
消費を促す x 利用を促す
製品を使わなかった消費者の再購買は望めない。つまり、顧客に購入した商品を実際に使わせることが重要である。顧客が購入した商品を、一定期間に使用する頻度、「使用率」を向上させることは、スイッチングコストの構築、2次販売機会の増加、良いクチコミの増加にも通じる。
通常、すでに支払い済の費用であるサンクコストは、論理上、将来の行動になんら影響はないはずなのに、いかに将来の活動がサンクコストに惑わされるかは見落としがちである。サブスクリプション契約のような、継続課金商品であっても、対価を意識したとたんに使用頻度が増えるのである。使用率が上がれば、継続課金を止める理由も生じず、再購入に繋がる。消費を促す価格設定で需要を増加させるだけでは片手落ちで、いかに価格を認識させ、商品の利用を促し、便益を感じさせるかを設計することで、再購入顧客維持への好循環を築くことができる。
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