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価格戦略を知る者が「利益」を制す #4|価格戦争

『価格戦略を知る者が「利益」を制す』
DIAMOND ハーバード・ビジネスレビュー編集部 【編・訳】
第4章 価格戦争の正しい闘い方

ダイヤモンド社(2005/03発売)

「第4章 価格戦争の正しい闘い方」を、主観的にまとめています。価格戦略上、重要なポイントをさくっと理解したい人におすすめです。

第4章 価格戦争の正しい闘い方

要約| 価格戦争は低価格で顧客を引きつける一方、値引き合戦となると業界全体の利益を急激に低下させる。誰が勝者であろうと、全員が戦争前より悪い状況に置かれる。無用な価格戦争を避けるための正確な状況把握や対処方法と、価格戦争に突入せざるを得ない場合や価格戦争に陥った場合の闘い方について事例とともに解説する。

『価格戦略を知る者が「利益」を制す』ダイヤモンド社(2005/03発売)

正確な状況把握で価格戦争の回避、闘い方を見極める

価格改定は、手軽で即効性があり、かつ元に戻せる手段と認識されている。価格戦争は、通常、どこかの企業がその市場の価格は高すぎる、あるいは市場シェアのためなら、現在の、マージンを犠牲にしても構わないと考えていることに端を発する。一企業の値下げは市場を活性化する効果と同時に、当該商品の品質低下を疑わせたり、市場全体に利益なき価格戦争を招きかねない。価格戦争の勃発に際し、紛争を回避、前線で徹底的に戦う、退却するの選択をするには、4領域の正確な状況を把握する必要がある。
顧客 価格感度、価格改定に夜顧客セグメントの変化など
自社 コスト構造やケイパビリティ、戦略上のポジショニング
競合他社 コスト構造やケイパビリティ、戦略上のポジショニング
業界 業界構造や業界内のプレイヤーの利益構造やプロファイル

価格戦争に備える

価格戦争はどんな分野のどんな商品にも起こり得るため、準備は早い方が良い。自社の戦略ポジションを明確にし、上述の正確な状況把握をするとともに、プライスリーダーシップが業界全体を巻き込んだ価格戦争を減らす一策として挙げられる。
プライスリーダシップ|価格の主導権
プライスリーダーは市場シェアの獲得手段としての値下げを避け、裏切り者による値下げには迅速に迅速かつ毅然と対応する。そのコスト構造や戦略などに信頼性があれば市場の価格管理者たり得る。自由競争を阻害すると誤解されると何らかの規制対象となり得るため、誤解を受けぬよう慎重に取り組む必要がある。

価格戦争のインセンティブに抵抗する

  • 長期の価格戦争により生じる悪影響

    • 値下げパタンをみて、顧客が低価格を期待するようになる

    • 「低価格企業/ブランド」という知覚品質が生じ、「ブランドの傘」にある製品や他ブランド、将来の発売商品までイメージや品質に疑念を抱かれる

    • 市場内の他プレイヤーの減益

  • 直接的かつ、報復的な値下げは最後の手段にすべきパタン

    • 過剰生産能力がある場合

    • 変動費率が低いコスト構造の場合

    • コア戦略の一環として、イノベーションに注力していて、価格戦争に入らずに市場シェアの一部を譲ったり、事業撤退の余地がある場合

    • 参戦している他プレイヤーに勝てない場合 
      → 全員が利益を減らし切ったところで参戦するのが賢明

  • 価格戦争に突入せざるを得ないパタン

    • 競合他社によってコア・ビジネスが脅かされた場合
      → 迅速かつ確固たる態度で報復的な値下げを行い、競合他社に値下げの財務的メリットは短期的であることを示し、将来の更なる値引きの余地を残さない

    • 価格に敏感な顧客セグメントが大きく、かつ成長している場合

    • 「コストリーダーシップ」コスト競争の主導権を握れる場合

    • 競合他社より自社の軍事力が上回る場合

    • 市場の拡大によって、「規模の経済」が実現できる場合」

    • 参入障壁が高いため、ライバルの戦力をそぐか、破滅させられる場合

    • ブランドを外した低価格商品の品質がブランド品に匹敵すると顧客が気づいたときのブランド品

価格戦争を事前に食い止める

まず、自社の戦略ポジションを明確にする。同時に、競合他社の動機や考え方、ケイパビリティをしっかり把握する。また、顧客セグメントが異なれば、価格感度や品質感度が異なるため、消費者行動を正しく理解する。その上で、専門知識を利用することで価格戦争を回避できる。

  • 価格以外の対応

    • 戦略上のポジショニングやケイパビリティを明らかにする
      競合他社に合わせた価格を提供、またはエブリデーロープライス などコスト面で優位にあることを明らかにして、他社が価格戦争を始めないように伏線をはる。

    • 質で闘う
      物理的な差別化、機能の良さを訴求。または低価格品の性能面のリスクを強調。

    • ステークホルダーと協力する
      サプライヤーや再販業者、関連サービス提供者などと協力体制をしく、または、専属契約を結び戦略的パートナーシップを形成する

  • 価格による方法

    • 複雑なプライシングを展開
      パッケージ価格、複線化、ボリュームディスカウント、価格プロモーション、ロイヤルティプログラムなどで戦争の脅威に晒されている特定のセグメントだけ選別して値下げする

    • 顧客の選択肢を変える
      単品→セット、モノ→コトなど顧客の商品便益の捉え方を変える

    • 新製品を導入
      競合他社に攻め込まれている顧客セグメントを対象に、セカンドブランドを導入。これにより、元のブランドの品質イメージやロイヤル顧客、価格を維持する

    • 単純なプライシングを展開
      競合他社や新規参入に対応して、既存価格を調整して訴求力を高める

価格戦争への対処|選別的なプライシングを採用する

価格戦争の脅威に晒されている顧客セグメントだけを選別して対処することが有効である。

  • 価格以外の対応

    • 顧客の選択肢を変える

    • ブランド戦争に持ち込む|ブランドを外す、別ブランドを立ち上げる

  • 価格による方法

    • セット価格

    • ボリュウムディスカウント

    • 使用時間ごとのスライド価格

    • 抱き合わせ販売

    • 特定チャネルによる値下げ

ISBN-10 ‏ : ‎ 4478502528
価格戦略を心理学で分析する。適正価格を科学的に導く。過当競争から抜け出す。「プライシング」は利益戦略である。
第1章 プライシングと消費者心理
第2章 新贅沢財のポテンシャル
第3章 価格シグナル戦略
第4章 価格戦争の正しい闘い方
第5章 eプライシング:「コストの透明性」に打ち勝つ
第6章 スマート・プライシングの技術
第7章 ポケット・プライス:真実の取引価格
第8章 プライシングの創造知

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784478502525


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