価格戦略を知る者が「利益」を制す #6|スマート・プライシング
「第6章 スマート・プライシングの技術」を、主観的にまとめています。価格戦略上、重要なポイントをさくっと理解したい人におすすめです。
第6章 スマート・プライシングの技術
消費者は特定のサイトで購買する
サイトを比較し、価格の低い商品を探す消費者、バーゲン品を狙って積極的にサイトを比較する消費者は少数派。企業であっても、総コスト低減のためにオンライン購入を利用しており、価格が安いことより、事務手続き、購買関連情報の一元化・探索・購入・運搬などの運用コストの低減にメリットを感じていることが多い。
インターネットのもたらす3つのメリット
新たな価格の発見と緻密な価格設定、受給関係の変化等に臨機応変な価格設定、顧客セグメントの発掘と最適化という3つのアプローチにより、スマートプライシングが可能になる。
低価格感度帯を考慮した価格設定
低価格感度帯|pricing indifference band ある一定の領域に収まっていれば、価格を変更しても顧客の購買決定にほとんど、または、全く影響を及ぼさない価格の幅。商材によって、広狭は異なる。美容商材17%、エンジニアリング部品10%、金融商品2%など。低価格感度帯内のどこで価格を設定するかによって利益には大きな差が出てくる。最適価格をより緻密に設定できる
低価格感度帯をより正確に把握できる
臨機応変な価格変更
業界全体の需給バランスを正確に把握し、素早く決断することで、価格を調整できる。価格を素早く変更できる
外的要因の影響を最小化できる
顧客セグメントの発掘と最適化
流入元やページの閲覧状況、購買履歴などからセグメンテーションし、セグメントに限った価格設定やプロモーションができる。独創的かつ的確にセグメンテーションできる
顧客のセグメントを容易に把握できる
セグメント間に境界を設定できる
適正なeプライシング戦略を実践するときのポイント
価格を緻密に設定し、環境変化に素早く対応し、的確に顧客をセグメント化するというインターネットゆえのチャンスをフル活用するために、3点を押さえる必要がある。
1|戦略やブランドとの一貫性を保つ
重要な戦略目標や核となる事業方針、ブランドイメージと矛盾しないアプローチを選択しなければならない。価格を下げれば売上・利益ともに増加すると調査から判明しても、長期的に高級ラインとして位置付ける戦略の場合、価格の引き下げは理にかなわない。顧客の認識に基づき、「一貫性があり信頼できる」イメージを損なわないことが得策である。
2|適切なテクノロジー
まずは基本的なモニタリングとテストができる環境を構築する。競合他社の価格をモニターするためのソフトウェアや一般消費者の価格意識の変化を辿るためのオンライン調査などが手軽なツールとなる。顧客や市場、競合他社の価格の動きをモニターして対処する。具体的には、規模を限定した上で、価格や価格構造における様々な選択肢をテストする。これにより、どのレベルに価格を設定すべきか、価格以外の変動要素のうち、何をどの頻度で変更すべきかも明らかになる。
3|起業家精神旺盛なプライシング担当グループを作る
インターネットの価格に関する固定概念に積極的にチャレンジすることを目的に、権限を一元化したチームを作る。彼らは、ビジネスチャンスを見分けることに集中し、効率的かつ最適な価格を提案する。通常のプライシング担当より上位に位置付けられ、一定環境下でのテストを行いながら、価格設定のルールとアプローチを明確に規定し、厳格に適用させる。定期的なデータの見直しと話し合いを通じて見通しの確度を常に向上させることに集中するチームである。