価格戦略を知る者が「利益」を制す #5|コストの透明性
「第5章eプライシング:「コストの透明性」に打ち勝つ」を、主観的にまとめています。価格戦略上、重要なポイントをさくっと理解したい人におすすめです。
第5章eプライシング:「コストの透明性」に打ち勝つ
コストの透明性の脅威
インターネットは、ブランド力強化、プレミアム価格、高い利益率を実現できるツールである一方、容易な検索・比較検討、「コストの透明性」をもたらす。価格比較サイトやオンラインディスカウントストアの利用により、消費者は、商品のコストは商品価格から想定していたより安価であることを学習する。サプライヤーや商品の特徴・品質、消費者の意見、在庫情報なども容易に情報を取得できる。つまり、消費者は、メーカーの製造コストや小売り企業の卸値を想定しやすい環境にある。結果として、大きなプレミアムを乗せるプライシングは難しく、インターネットで得た情報を元に、消費者は小売り企業と交渉できるようになる。
企業はリスクプレミアムを価格に上乗せできなくなる
消費者は欲しい商品をより効率的に探し出せる
買い手中心のプライシングと逆オークションで消費者は底値を知ることができる
ショッピングが非常に合理的になる
市場別に異なるプライシングをしている企業に、コスト構造と価格方針の見直しを迫る
収益よりも顧客基盤の拡大が重視され、顧客のコスト感覚を変えつつある
克服すべき4つの課題
高い利益率を上げる能力が著しく損なわれる
商品やサービスはコモディティ化する
顧客のブランドロイヤルティが弱まる
プライシングに不信感をもたれ、企業の評判が傷つく
対抗策|価格の妥当性を納得させる
実質コストを隠す|自分たちのブランド固有のベネフィットを広告宣伝
ニーズに応える|正当な価格=実質コスト+適正なプレミアム
1|プライシングの追求
コスト透明性への方策として、プライシングを追求することも考えられる。
プライス・ライニング|顧客対応価格設定 ティアードプライシング/バージョニングとも。顧客のニーズに応えて、異なる商品・サービスとして、さまざまな価格で販売すること。
スマートプライシング/ダイナミックプライシング|市場環境や買い手ごとの個別対応にかかるコストの差、商品評価の差に応じて、市場ごとに価格を変える方法
2|ベネフィットの改善
質の改善|商品やサービスの質を競合他社より優れた状態に保つ。
バンドリング|個々の商品やサービスのコスト構造が見えにくくなる。
イノベーション|顧客の生活を向上させ、独自の新商品を提供する。