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トレーラーハウスの企画開発 No.02【車両と建築の基準】

本記事ではトレーラーハウスの企画開発について解説をしています。第2回目のテーマは【車両と建築の基準】です。 

 

難しいけど知っておきたい!【車両と建築の基準】

トレーラーハウスの開発を行うにあたり、トレーラーハウスは建築物なのか車両なのか、どの法令で規定をしているのか、ということを把握しておく必要があります。

トレーラーハウスが車両であり、建築物には該当しない扱いとなるためには、「車両としての基準」に準拠することと、「建築物の基準にあてはまらない」ことに準拠することという、2つの条件を満たしていることが必要になります。

 

車両としての基準

車両としての基準と記していますが、わかりやすくするためには、「公道を走るために準拠する法律的な基準」と言い換えた方がよいかもしれません。

この基準は大きく分けて2つの種類に分類されます。道路運送車両の保安基準の第2条で定めている、「長さ、幅及び高さ」に準拠しているか否かを含め、「車検の基準に適合しているか否か」という分類です。

保安基準の第2条を確認してみましょう。こちらは国土交通省のウエブサイトで見ることができます。※国土交通省ウエブサイトより引用

この保安基準の第2条の中で注目すべきことことは、
車幅=2,500㎜、長さ=12,000㎜、高さ=3,800㎜を超えてはならない。
という規定です。この規定内であることが公道を走るために必要な「車検」取得の条件の一つになります。

言い換えますと、
「公道を走るには車検が必要」
「車検を取得するには車両サイズとして保安基準の第2条への準拠が必要」
ということになります。

さて、ここで改めて各社のトレーラーハウスのサイズをウエブサイトで見てみましょう。車両サイズに準拠しているトレーラーハウスもありますが、車両サイズを超えているトレーラーハウスも見ることができるでしょう。

なぜ、保安基準の第2条のサイズを超えたトレーラーハウスがあるのしょうか。それは、サイズを超えても運行できるようにするために平成24年12月17日付けで国土交通省より、「基準緩和の認定」が定められているからであり、その条件に準拠したトレーラーハウスとしているからです。

基準緩和に係る資料は、国土交通省のウエブサイトで見ることができます。※国土交通省ウエブサイトより引用

このように、保安基準の第2条に準拠して車検を有して公道を走る場合の法的基準と、車検は有していませんが基準緩和認定を有することで公道を走る場合の2つの基準があります。

各トレーラーハウス会社様の扱っている商品も、どのタイプに準拠しているかによって商品のサイズや各種の制約条件が異なります。

この2つのタイプはそれぞれにメリットや条件が大きく異なります。トレーラーハウスの開発の際には、この2つの違いを十分に理解しておくことが必要です。そのうえで、どちらのタイプのトレーラーハウスで事業化を検討すべきか、という方向性を事業化のコンセプトと照らし合わせたうえで先行して打ち出してゆくことが必要です。

 

建築としての基準

前項では、車両としての法的基準について解説をしてきました。ここからは建築としての法的基準、いいかえれば「建築物の基準にあてはまらないこと」としての基準を解説してゆきます。

まず、建築物の定義を確認してみましょう。建築基準法の第一章総則の第二条において以下のように定められています。

建築基準法 第一章 総則 第二条

建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

建築基準法の第一章総則の第二条より引用

この中で、トレーラーハウスに直接影響のあるところとしては、「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有するもの」のところかと思います。トレーラーハウスにはもちろん屋根、柱、壁がありますので、トレーラーハウスが建築物ではないとするためには、「土地に定着する工作物ではない」ことであることが必要になります。

では、「土地に定着しない」とは具体的にはどういうことを指すのでしょう。平成9年3月31日付けの国土交通省から各都道府県建築主務部長宛ての通達が、具体的な定義を示していますので引用させていただきます。

平成9 年3 月31 日付け住指発第170 号

トレーラーハウスの建築基準法上の取扱いについて
近年、キャンプ場において、トレーラーハウス(車輪を有する移動型住宅で、原動機を備えず牽引車により牽引されるものをいう。以下同じ。)を利用する例が増加しており、その建築基準法上の取扱いについて疑義を生じている向きもあるため、今般、その取扱いを下記のとおりとすることとしたので、遺憾のないよう取り扱われたい。なお、貴管下特定行政庁に対しても、この旨周知方お願いする。



トレーラーハウスのうち、規模(床面積、高さ、階数等)、形態、設置状況(給排水、ガス・電気の供給又は冷暖房設備、電話等の設置が固定された配管・配線によるものかどうか、移動の支障となる階段、ポーチ、ベランダ等が設けられているかどうかなど)等から判断して、随時かつ任意に移動できるものは、建築基準法第2 条第一号に規定する建築物には該当しないものとして取り扱うこと。

国土交通省発の住指発第170 号より引用

この「随時かつ任意に移動できる」ということが、建築物に該当しないことの条件となります。では、随時かつ任意に移動できるとは、具体的にどのようなことを指すのでしょう?

こちらは、日本建築行政会議発行の「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」の中で「車両を利用した工作物」として、記載されていますので引用させていただきます。

車両を利用した工作物

内容
バス、キャンピングカー及びトレーラーハウス等の車両(以下「トレーラーハウス等」という。)を用いて住宅・事務所・店舗等として使用するもののうち、以下のいずれかに該当するものは、法第2条第1号に規定する建築物として取り扱う。

建築物として取り扱うもの
トレーラーハウス等が随時かつ任意に移動できることに支障のある階段、 ポーチ、ベランダ、柵等があるもの。

給排水、ガス、電気、電話、冷暖房等のための設備配線や配管等をトレーラーハウス等に接続する方式が、簡易な脱着式(工具を要さずに取り外すことが可能な方式)でないもの。

規模(床面積、高さ、階数等)、形態、設置状況等から、随時かつ任意に移動できるとは認められないもの。

なお、設置時点では建築物に該当しない場合であっても、その後の改造等を通じて土地への定着性が認められるようになった場合については、その時点から該当トレーラーハウス等を建築物として取り扱うこうとが適切である。

解説
「随時かつ任意に移動できるとは認められないもの」の該当例は、以下のとおりである。

車輪が取り外されているもの又は車輪は取り付けてあるがパンクしているなど走行するために十分な状態に車輪が保守されていないもの。

上部構造が車輪以外のものによって地盤上に支持されていて、その支持構造体が容易に取り外すことができないもの(支持構造体を取り外すためにはその一部を用具を使用しなければ取り外しができない場合等)

トレーラーハウス等の敷地内に、トレーラーハウス等を設置場所から公道まで支障なく移動することが可能な構造(勾配、幅員、路盤等)の連続した通路がないもの。

トレーラーハウス等が適法に公道を移動できないもの。

※臨時運行許可(仮ナンバー)や特殊車両通行許可等を受けたことだけでは、「随時かつ任意に移動できるもの」との判断はできない。

日本建築行政会議発行「建築確認のための基準総則・集団規定の適用事例」より引用

トレーラーハウスが建築物ではないようにするためには、この定義に該当しないようにすることが求められます。また、トレーラーハウスの車両と建築としての定義は、各地区の行政機関により見解が異なることもあります。実物件を検討する際は設置場所を管轄する行政機関への確認も必要です。

尚、トレーラーハウスの販売会社様やトレーラーハウスの普及を推進されている各協会様のウエブサイトでは、イラストや写真入りで詳しく解説をされているサイトもございますので、そちらを参考にしていただくとより理解を深められるかと思います。

 

まとめ

車両としての基準については、どの基準に準ずるかによってトレーラーハウスのタイプが変わりますが、建築物としての基準(正しくは建築物とはならないための基準)については、全てのトレーラーハウスに対して共通の基準となります。

トレーラーハウスの開発においては両方の基準に準ずることが必須となりますので、十分に内容を把握しておくことが必要です。

次回更新は11月11日(土曜日)AM10:00を予定しています。

 

本記事はトレーラーハウスの企画開発に向けたアウトラインをテーマにしておりトレーラーハウスに係る全ての法律技術要件を解説しているものではありません。トレーラーハウスには多くの法律技術要件が関連しています。開発を行う際はご自身で十分ご確認のうえ開発をお願いします。

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