松倉愛*創作工房mucco
本当にあったかなかったか。真実か嘘か。ああこわいこわい。 実体験の怖い話から創作の怖い話まで。 ホラーな話を詰めてみました。
エッセイが書きたい。書けばいいだけなのだ。 そんな思いでつらつら書く、エッセイのようでエッセイじゃないかもしれないちょっとした読み物。
短歌を詠みます。 貴方のひとときの読み物になりますように。
ある日のことです。 「あぁ!また負けた!!」 ペストマスクさんのお家に遊びに来ていたケット・シーが叫んでおりました。 実は彼ら、ポーカーが大好きです。 ご安心ください、賭け金は「お互いのおすすめのスイーツ」ですから。 現在5戦目、全てペストマスクさんが勝利を飾っています。 どうやら女神様の運はペストマスクさんに向いているようです。 「ロイヤルストレートフラッシュなんて普通にやっててでます?」 ケット・シーは訝しげにペストマスクさんの顔を覗き込みます。 「でち
目の前に何かわからない、大きな乗り物のような、そんな装置がある。 ぐるーっと「それ」の周りを周ってみる。一見、箱、だ。 入り口は……わからない。中に何かがいるのかもわからない。でもまぁ、多分居ないだろう。こんなにも無防備に道のど真ん中に置いてるんだから。そういえばこんな帰宅の時間に人1人通らず、撤去されず、どうしてまた放置されているんだろう。 ふーむ。とおそらく正面である丸窓の前に立って映る自分と睨めっこをした。 警察に通報すべき?それとも役所?どこに連絡するか悩んでい
玄関を開けるとジリジリと太陽が肌を灼く。 もう9月だというのに真夏と変わらないどころか力を増したかのように太陽が地面を熱していく。 つい先日、台風だと騒いだばかりなのにと思いながら、私は郵便局へ行った。 着くまで約5分。新品のサンダルの形のまま日焼けをしそうな日差しを受けながら汗を垂らして歩く。こんな日に限って帽子も日傘も持ち合わせてはいなかった。 こういう油断が熱中症に繋がるんだよなんて捨て台詞を飲み込んで目の前に現れた郵便局に早足で入った。 涼しさに一息。このまま
どっかでは動物の脳をたべるらしい 貴女のそれはどんな味かな きっととろけるほど甘くて舌で潰せるくらい柔らかく極上の味がするだろう。 君を見つめるたびに唾を飲み込む。 その甘美で官能的、夢のようなスイーツを想像して。 さぁ、いついただこうか。 -------------------------------- そこにあるのは猟奇的な愛か狂気的な思想か。 愛する故の捕食願望であることを願いたい。
超やべぇ 背後見るなよ今だけは 知らないフリして前見て歩け そう言われて、僕は振り返らずに前だけを見て足を進めた。低い声に身体がこわばり、脂汗が浮かぶ。 一体誰だよ、お前。 ------------------------ 誰だったんでしょうね。 後ろで声をかけてきた奴も怖いしその後ろにいる奴も怖いし、主人公は気が気じゃないですよね。
あと少し君と話がしたいから なけなしの十円玉をカランと入れた 1分弱、56秒。 この時間が永遠に続けばいいと思うのに、僕の手の中にはもう十円玉は残っていない。 時間切れのブザー音。 「またね」と飲み込みたい言葉を吐き出す。 君もおんなじように感じているのだろうか。 ーーーーーーーーーーー 私はウィルコム世代だったので(私は持ってなかったけど)、強いて甘酸っぱい思い出といえば携帯のメールの送受信を何度も来ていないか確認してたくらいでしょうか。 今はきっとLINEの既読がつ
君からの重い想いのプレゼント 殺意の籠った病のパンドラ Xのお題企画さんから「感染症」で一首。 彼女がうつした病気は本意か不本意か。 いくら予防しててもかかる時にはかかるよね。 それとも違う意味があるかな。
「こんばんは」 「やぁこんばんは」 「調子どう?」 ここは五階の引き違い窓 短歌、始めました。 五階のベランダの無い窓を開けたらすごく爽やかに挨拶されて、咄嗟に返事をしてしまった彼はどうなったのでしょうね。 怪異は自ら受け入れたらいけないと言いますけどね。
「さぁさぁ皆さん、きちんと並んでください。こら、そこ背伸びしない!」 ペストマスクさんの声が教室内に響く。 今日は創作工房muccoにいるあみつくも達の身体測定の日。 測るのは身長、体重、視力に聴力、角のある子は角長、尻尾のある子は尾長、羽のある子は羽長…人の身体測定よりも測る部分がとっても多い、一大イベント。 たつ吉の体重の数値を見るペストマスクさん。ちょっと辛口のコメントをします。 「たつ吉くん、体重が平均の10%超えですよ。ちょっとしぼらないと空を飛ぶのに支障
私が「スピリチュアル系あみぐるみ作家」になったのには私の生い立ちが必要となってきます。 少し長くなってしまうかもしれませんが、お付き合いいただければ幸いです。 そもそもなんでスピリチュアル系だったのか。そこには私の生まれが大きく関係しています。 私は平成初期に占い師とバーテンダーの間に産まれました。占い師だった母は「笑っていいとも!」や雑誌・メディアに出るくらいの当時かなり有名だった人です。 小さい頃から不思議な本や不思議な像(インド神話のガネーシャ像とか阿修羅の像と
こんにちは、創作工房mucco 松倉愛です。 お店もめでたく10周年を過ぎ、ありがたいことにお客様のおかげで自分のやりたいことでご飯を食べさせていただいております。 この10年で、好きなことでご飯を食べれるようになったきっかけや行動、考え方を発信できればいいなと思い、このマガジンを作りました。 なので、初めましての人ははじめまして、ご存知の方には改まして、自己紹介をしたいと思います。 ちょっと前までは「総合芸術作家」を名乗っておりましたが最近では完全に「スピリチュア
これ、実際にあった私自身経験したイヤな話なんですけど、聞いてもらえます? うちの家族って祖父が亡くなるまで、2年に1回くらいのペースで一族で旅行に行くのが伝統というか、習慣だったんですよ。 祖父母とアメリカの従兄弟家族、私の家族の11人。これだけの大所帯、本当に迷惑だったと思うんですけどね。 それで、いつだったかな。私が専門学生の頃だったから18か19くらいの頃の旅行の時。祖父の出身地のT県に行ったんです。 私、昔からこの旅行行事が嫌で嫌で、当時付き合ってた彼氏に
ぱち ぱち ぱち ふわっと上がって はじけてきえる ぱち ぱち ぱち こどもが手を叩く ぱち ぱち ぱち 眼を閉じて開けてみれば ぱち ぱち ぱち そこに だれが
僕が死んだら 海に撒いてください そうしたら僕は人魚になって海に還るから 僕が死んだら 風に撒いてください そしたら僕はドラゴンになって空に還るから どうぞ心配しないで あなたが僕を悼む間に 僕は次の生を謳歌してるから あなたはあなたの生を あなたはあなたの未来を ただ謳歌してくれればいい それを僕は 海から 空から 眺めて 笑っていよう
爪を、ぬる お母さん指、お兄さん指、お姉さん指、赤ちゃん指、そしてお父さん指 虹色に輝くそれは人魚の尾鰭 歌が聞こえるような気がして 天に手をかざす 21日間の人魚 次は誰になろう そしてまた、爪を、ぬる
空を泳いだ魚は 海を恨めしそうに眺めていて 海を泳いだ魚は 空を懐かしそうに眺めていたって いつだってそうだ いつだってそうだ あの魚は海が恋しいと言い あの魚は空が眩しいと言い 飛び込むことはなく 空を、海を、泳ぐんだ 変わらない世界を泳ぐんだ 何も変えられないまま 泳いでいく 泳いでいく