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ちょっと今から仕事やめてくる

第21回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞した北川恵海の同名ベストセラーを、福士蒼汰主演で映画化。仕事のノルマが厳しく精神的に追い詰められていた隆は、疲労のあまり駅のホームで意識を失い電車に跳ねられそうになったところを、ある青年に助けられる。幼なじみのヤマモトと名乗るその青年に全く見覚えのない隆だったが、ヤマモトとの交流を通して徐々に明るさを取り戻し、仕事も順調に進むようになっていく。ところがある日、ふとしたことからヤマモトについて調べた隆は、ヤマモトが3年前に自殺していたという信じがたい事実を知る。福士扮する謎の青年ヤマモトに救われる隆役に工藤阿須加。「八日目の蝉」「ソロモンの偽証」の成島出監督がメガホンをとる。

2017年製作/114分/日本

昔を思い出して涙が溢れ出た。
今でこそブラック企業と言う言葉がポピュラーになっているが、
当時はこれが働くと言う事、これが会社と言うもの
そう思っていたから、必死で耐えて苦しんで、泣いて叫んで、
それでも朝が来る、朝が来なければいいなんて思ったりもした。
罵声怒声を浴び続け、嫌で嫌で怖くて怖くて不安で不安で
眠れない日々が続き、ついには身体を壊した。

味方なんかいない。
一人で戦った。

嫌なら辞めればいい、嫌な事からは逃げればいい
そう思う反面、ここで逃げて良いのか?
負けを認めるのか?ダサくねぇ?と自問自答を繰り返す。
絶対に見返してやろうと歯を食いしばって決意するけど、
翌日には想像を遥かに超えた嫌がらせに叩きのめされる。
今思えばそんなクソみたいな体験が自分を強くしたなんて言えるけれど、
それは結果論にこじつけて自分を美化しているだけだ。

ただただ、悔しかったのかもしれない、
逃げるのは嫌だった、そんな気もする。
逃げたって向こうは何も感じない、
戦ってぶっ潰してやりたい、そう思ったのかもしれない。

もう覚えていない。

でも、身体を壊したらその戦いも終わり、そう、結局私は負けたのだ。

この作品のように前向きに晴れやかに辞めたかった。
ただただその辞め方に『憧れ』を感じた。

物語の真相、つまり『ヤマモト』とは?はどうでも良くなった。
全てを悟った仏のように辞める主人公の姿。
それが私には強烈過ぎて何も残っていない。

当時の自分を見る様で心が痛かったです。

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