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向こうの果て

昭和60年の東京。マンションの一室で放火殺人が発生する。逮捕された池松律子(松本まりか)と、死亡した小説家の君塚公平(松下洸平)は幼なじみだった。律子は事件を担当する検事・津田口(柿澤勇人)の取り調べを、どこか浮遊しているような態度でするりとかわしていく。津田口は事件の真相を追って、これまでに律子と関わってきた人物たちと接触し始める。

次第に明らかになってくる律子の数奇な人生と、彼女を取り巻く男たちの姿。しかし、彼らが口々に証言する律子の印象は、すべてがバラバラであった。津田口は事件を深追いするほどに、徐々に律子という人物そのものに傾倒していく。やがて津田口は、律子と公平が幼少期を過ごした昭和30年代の青森・津軽に、この殺人事件の真相を解く鍵があるとにらみ始める。

2021年 製作国:日本

松本まりかさんを使えばなんとかなるだろうって言う、彼女頼りな印象も受けたが、確かに彼女だから出来た画面とも言える。とは言え、毎回、松本まりかと言えばこの演技と言う感じもするので、逆に松本まりかに物語を寄せた様にも見える。

煙草をくわえる2秒ほどのスローで、口元を歪ませて煙草を下唇から少ししゃくれ気味にくわえ込むような品のない吸い方が素晴らしかった。

暴力シーンではヒールのつま先が当たらないように、ローキック気味に蹴っていたのは残念だった。しかも割と綺麗なフォームのローキックwそういう気遣いが見えると萎えちゃいますよね、気遣って蹴るわけないだろ。

昭和感が満載で、回想シーンでは色がくすむ。
この『くすみ』が昭和のアナログ写真の様で、『貧しさ』を象徴しているようにも感じられる、そういう意味では見事な効果を発揮している。

壮絶な生き様が彼女に色んな顔を作らせたのか、関わった人間に話を聞くたびに彼女の違う顔が現れる。

暗くて重苦しい内容だが、続きを観たくなる魅力はある。

但し起伏が無くつらつらと綴られる般若心経のリズムの様な展開なので、飽きる人は飽きるでしょう、逆にのめり込んだら一気見出来る作品です。

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