向こうの果て
松本まりかさんを使えばなんとかなるだろうって言う、彼女頼りな印象も受けたが、確かに彼女だから出来た画面とも言える。とは言え、毎回、松本まりかと言えばこの演技と言う感じもするので、逆に松本まりかに物語を寄せた様にも見える。
煙草をくわえる2秒ほどのスローで、口元を歪ませて煙草を下唇から少ししゃくれ気味にくわえ込むような品のない吸い方が素晴らしかった。
暴力シーンではヒールのつま先が当たらないように、ローキック気味に蹴っていたのは残念だった。しかも割と綺麗なフォームのローキックwそういう気遣いが見えると萎えちゃいますよね、気遣って蹴るわけないだろ。
昭和感が満載で、回想シーンでは色がくすむ。
この『くすみ』が昭和のアナログ写真の様で、『貧しさ』を象徴しているようにも感じられる、そういう意味では見事な効果を発揮している。
壮絶な生き様が彼女に色んな顔を作らせたのか、関わった人間に話を聞くたびに彼女の違う顔が現れる。
暗くて重苦しい内容だが、続きを観たくなる魅力はある。
但し起伏が無くつらつらと綴られる般若心経のリズムの様な展開なので、飽きる人は飽きるでしょう、逆にのめり込んだら一気見出来る作品です。