シナリオ解説:万里の長城決戦
HIGH-MACS Tacticsでは両軍にHIGH-MACSが登場するシナリオが(演習シナリオを除くと)2本ありますが、今回はそのうちの1本になります。もっともPEU側にとってはHIGH-MACSの登場も後半なので、限られた戦力でどう陣地を攻略するかがより重要になります。初期配置もある程度自由度があるので、事前の作戦構築が必須なシナリオとなっています。
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APCは残り少ない戦力を高台に集め、万里の長城を背にして辛うじて防衛線を維持しています。そしてマップ中央上側には我らが12式(HIGH-MACS)が2機。内1機は損傷状態。加えて2機ともエネルギー切れで3次元機動はおろかチャージすらできません。復活させるには補給拠点まで戻るほかなく(といっても損傷状態は復活しません)、これは山道を利用して1回の移動で辿り着けます。
一方PEU側の主力は対空用AWGSのバリアントと火力的に心許ないものの、2機のエレファントが山林を進む移動要塞の如き威容を誇っています。また攻撃ヘリ4機の増援をいつでも投入できる他、ゲーム終盤には空挺降下により2機のヤークトパンター(HIGH-MACS)が壁の裏側からやってきます。
PEUはHIGH-MACS以外のAPC地上部隊を全滅させれば勝利。守り切ればAPCの勝利となります。
余談ですが、このシナリオに登場する戦車は当初(原作通り)英国のチャレンジャー2の予定でユニットも作ってありました。しかしユニット枠が厳しくなり、セットから外れてしまったのでやむなくPT5で代用しています。
PEUのエレファントはこのゲーム最大の火力と防御力を誇ります。APC側の戦力で破壊できるのは12式によるトップアタックのみ。逆にPEUにとって空中の12式を破壊できるのは(ほぼ)バリアントに限定されるので、12式はエレファントを狙い、その周りをバリアントが護衛する空母戦のような形が生まれます。
PEU側の戦術として、全てのバリアントを輪形陣のような形でエレファントの護衛に回す手もあります。しかしこれは博打要素が強いので、今回は半分を護衛に、残り半分は攻撃部隊としてマップ下側から敵陣に迫ることにしました。
第4ターン:マップ下側を進んだバリアント小隊は混乱機体が続出し、攻勢に行き詰まりを見せています。
12式はこのターンにようやくジャンプ1回分のチャージが終わり、さっそく空へ。2機の12式のうち損傷を抱えた機体は戦車部隊を。もう一方はバリアントの対空防御に守られたエレファントを狙います。結果はエレファント1機を破壊せしめ、3輛のPT5もまとめて撃破。対空射撃による被弾は幾つかあったものの、装甲を抜かれるようはクリティカルは発生しませんでした。
この際、PT5に対して行われた攻撃はガングリフォン名物、上空からのロケットポッドで、上図では黄色いスモークマーカーが痕跡として残っています。実際の効果範囲は隣接ヘクスも含むため、密集した車両部隊などには絶大な効果を発揮します。ただし当ゲームにおいてはTVゲームほどの威力はなく、ばらまける回数も1機体1回のみとなっています。
翌ターンに2機の12式は補給拠点に帰還し、第7ターンにやってくるヤークトパンターに備えます。その間、破壊できなかったエレファントがジリジリと高台に迫りますが、チャージ量の関係でここはグッと我慢。
第7ターン:ここはどちらがイニシアチブを取っているかで対応が変わります。今回はPEUのイニシアチブで翌ターンも支配継続が確実という状況。
PEUは降下した2機のヤークトパンターを敢えてバラして行動させる手に出ます。これは敵の迎撃効率を少しでも悪くするためでしたが、攻撃機会が減るデメリットも大きいです。
結果、1機のみが対地攻撃を行い、AWGSコラートと95式自走対空機関砲2輛を破壊。ヤークトパンターの対地制圧能力の高さを見せつけます。しかし12式による迎撃を受け、ヤークトパンターはどちらも1ダメージの損害。ヤークトパンターの耐久値は2なので、あと1ダメージで破壊です。
それでも2機ともに生き残ったヤークトパンター。次のターンに対地攻撃ができれば、ゲームを終わらせる可能性も・・・
そううまくはいきませんでした。
第8ターン:空中の12式を無視してAPC地上部隊の殲滅を目指す2機のヤークトパンター。最初の攻撃①は12式の105mm砲弾をうまくすり抜け、森にいた13式装甲歩行車をトップアタックで破壊(その後更にもう1機も破壊)。順調に敵部隊を削ります。しかしもう1機のヤークトパンター②は移動中に12式の防御射撃が直撃し、移動不可損害を食らってしまいました。
3次元機動中のHIGH-MACSが移動不可損害を被った場合、その場で移動を停止し、ターン更新フェイズに強制着陸となります。バックアップできる歩兵戦闘車は壁の向こうであり、復帰はかなり絶望的に。地上からでは山の稜線を走る壁しか見えません。
結局このヤークトパンターが再び空に飛び上がることはなく、地上部隊もやや精彩を欠いたとあって、目的を果たすことができず終了となりました。
今回はAPCの勝利です。
原作においても印象的だった万里の長城戦ですが、当ゲームではヤークトパンターの位置づけが(ミハエル・ハルトマン仕様を除いて)対地制圧能力の特化となったため、このような形になりました。
HIGH-MACS自体が(TVゲームほどではないにしろ)チートなので、どうしてもHIGH-MACS同士の戦いを扱ったシナリオはその帰趨そのものが全体の勝敗に直結しがちです。実際にミハエル・ハルトマンを含め、両軍で6~8機のHIGH-MACSが登場する当ゲーム最大のシナリオ『ロケット発射台奪還』では、その辺りで非常に苦労しています。