HIGH-MACS Tactics シナリオ背景集
HIGH-MACS Tacticsには兵棋演習を除くと全部で8つのシナリオが入っています。各シナリオにはその戦いに至る背景説明があり、今回はその部分をまとめてご紹介します。
今回のセットではAPCとPEUの戦いに絞ってある都合上、アメリカ参戦以降の戦いが含まれていません。また史上最大の戦車戦となったモンゴル大戦車戦も、APC側のユニットが少なすぎるため作成を断念しました。いつかAPC軍 VS AFTA軍バージョンを作った暁には、両セットを連結してモンゴルの大平原を再現してみたいものです。
プロローグ
異常気象、食糧危機、エネルギー危機・・・
21世紀初頭。世界は汎ヨーロッパ連合(PEU)・アメリカ自由貿易地域(AFTA)・アジア太平洋共同体(APC)・アフリカ統一機構(OAU)の四極に分裂していた。
政治経済の対立。そして、世界各地に頻発する局地紛争。豊かな緑の大地は、今はもうない・・・
(『ガングリフォン』オープニングより)
シナリオ0 先制攻撃
(2015.2.9 北アフリカ アウジラ)
無線封止のままエジプト国境に迫る『演習中』のPEU・リビア連合軍に対し、中国政府はこれをエジプトへの侵攻と断定。戦力的に劣るAPC・エジプト連合軍は先制攻撃を決意し、トブルクへ向けて進撃を開始した。またそれに伴い、日本外人部隊第501機動対戦車中隊は、C-17にHIGH-MACS各2機。全16機を搭載し、密かに敵後方に迫っていた。
中東での戦いに難色を示し続けてきた日本政府だったが、もはや増大し続ける中国の要求に抗えなくなっていた。
シナリオ1 反撃の狼煙
(2015.2.10 リビア サリール油田北方)
開戦劈頭、APC・エジプト連合軍は国境地帯のPEU・リビア連合軍の守備隊を難なく撃破し、リビア領奥深くへと電撃的に浸透した。異常気象により日常化する砂嵐は進撃する彼らの姿を眩まし、PEU側の情報は錯綜する。しかしその最たる要因は天候ではなく、APCの突然の南進にあった。彼らは首都トリポリへは進まず、油田地帯の占領を優先させたのだ。占領は容易に成し遂げられたものの、状況を掌握したPEUはドイツの精鋭、降下対戦車猟兵(フォルシルム・パンツァー・イェガー)に出撃を命じる。降下は日の出と共に行われ、無防備なAPC中国軍部隊への完全な奇襲となった。
3次元機動力を誇る日本の12式装甲歩行戦闘車――HIGH-MACSがいち早く救援に駆けつけるが・・・
シナリオ2 バレンタイン・ポケット
(2015.2.14 カッタラ窪地)
APC・エジプト連合軍はPEUの反撃の前に敗れた。中国がエジプト政府への餌として撒いたリビア油田地帯の確保が仇となり、部隊を南下させたことにその一因があった。
第501機動対戦車中隊は足の遅い味方の護衛に悩まされながらも、エジプト国境を目指してカッタラ窪地をひたすら撤退していた。PEUは航空優勢を生かして足止めを図るが・・・
シナリオ3 スエズ運河攻防戦
(2015.2.16 スエズ運河畔)
ナイル河東岸への撤退に成功したAPCは、スエズ運河を塹壕代わりにして背水の陣を敷いた。砂嵐と異常気象による酷暑はエアフィルターの故障を招き、HIGH-MACSの翼を奪ったが、それでも開けた土地における誘導ミサイルの効果は絶大であり、PEUは地上部隊は愚か、攻撃ヘリすら運河に近づけない有様であった。
思わぬ抵抗に遭ったPEUは、歩行戦闘工兵車により塹壕を掘り進め、重装甲の多脚型AWGSを密かに前線投入すべくスエズ運河に迫っていた。
シナリオ4 ハリコフ降下作戦
(2015.3.26 ハリコフ)
ロシアによる突然のウクライナ全土再併合宣言は、遠く離れた北アフリカの地にも衝撃をもたらした。PEU加盟国同士の戦いは前線の混乱を招き、この機に乗じたAPCはPEUとの停戦にこぎつけただけでなく、占領軍(表向きは中東平和維持軍)をエジプトに駐屯させる事に成功する。
息を吹き返した中国政府は援助を求めるウクライナの声を自らの野望に変え、新たな戦端を開く決断をする。地勢的に大兵力を投入できないAPCは緊急展開部隊を投入。更に後方攪乱と補給線の切断を目的とし、北アフリカから戻ったばかりの日本外人部隊、第501機動対戦車中隊を空路ハリコフへ向かわせた。
シナリオ5 シベリア鉄道の罠
(2015.4.20 ノボシビルスク)
日本外人部隊の奮闘も空しく、PEUの電撃的な侵攻によりウクライナの首都キエフは陥落した。だがその直後、ロシアに衝撃が走る。長年の搾取を嫌ったウラル以東地域が突如ロシアからの独立を宣言したのだ。多様な資源の供給元地域の離反に、それまで戦いに熱心とは言えなかったイギリスやイタリアも重い腰を上げざるを得ず、対するAPC陣営はタイやオーストラリアまでもが派兵を決めておこぼれを狙った。
だが前線はそんなマキャベリズムとは無縁であり、第501機動対戦車中隊はシベリア鉄道で輸送されるPEUの大部隊に日々襲撃を繰り返し、押し寄せる波をどうにか押し止めていた。
そこに大きな罠が張られることになるとも知らずに・・・
シナリオ6 万里の長城決戦
(2015.5.30 大同・張家口)
ノボシビルスクは陥落した。
PEUの伏兵作戦にも最低限の損耗で対処した歴戦の第501機動対戦車中隊が奮闘した一方、新設の第502機動対戦車中隊は敵の罠に落ちて壊滅した。
作戦の成功により大兵力を投入できるようになったPEUと、中国本土を戦場にしたくないAPCがモンゴル高原で激突し、この史上希に見る大戦車戦もPEUの勝利に終わった。半ば潰走状態となった中国軍は万里の長城京包線に最終防衛ラインを敷き、同時にAPC諸国の締め付けも各所で行われた。
戦局の悪化は深刻な兵站不足とも相まって、第501機動対戦車中隊にも暗い影を落としていく。一方で補給線の延伸に加え、黄河を渡河できず膠着状態に陥っていたPEUは、戦局を打破するため空挺作戦を実施するが・・・
シナリオ7 ロケット発射台奪還
(2015.6.3 内蒙古 ジャルタイ)
PEUは内蒙古の『民間』ロケット発射場を制圧した。これに対し中国政府は過敏に反応し、即座に奪回作戦を発動。味方部隊への突破口を開くべく白羽の矢が立ったのは、ノボシビルスクで壊滅した後再編成された第502機動対戦車中隊だった。
両陣営がこの民間施設に並々ならぬ関心を示したのには理由がある。核弾頭の存在だった。反撃を予期して罠を張ったPEUではあったが、長く伸びた補給線と損耗、そしてエースの投入が司令部の判断を鈍らせる。
APCがロケット発射場に迫る中、予備部隊の逐次投入が前戦に混乱を招く。
以上になります。
最初の先制攻撃をシナリオ0としているのは、ソロプレイ用シナリオであるため他と区別したかったからです。
1作目のガングリフォンで印象的だったキエフ攻防戦についても一応は考えたのですが、市街戦というシチュエーションを再現するには色々と足りなすぎるので断念しました。
他にもガングリフォンの設定には(中国の見せしめによる)日本人同士の戦いや、AFTA軍とPEU軍の戦い(ノルマンディーやライン河の攻防)等、詳細は記されていないものの興味深い戦いが多く存在します。個人的にもAFTA VS PEUという構図が、兵器の個性上一番面白くなるのではないかなどと思ったりもしました。
夢や妄想が膨らみますね。