自分にとって最高のゲームを作り続ける方法
こんにちは。Studio GGのShunです。
今回はBoard Game Advent Calender 2019に参加させていただいたので、それ向けの記事です。
今回のアドベントカレンダーも色々面白い記事がありますね。
実はまだ、全部は見れていないのですが、その中でヨシヒコさんの「宿命の旅団のデザイナーズノート」に色々共感して、思ったことがあったので、それについて書きたいと思います。
主題は「自分にとって最高のゲームを作り続ける方法」です。
ゲームの企画で考えること
ボードゲームに限らず、ゲームを作る際、実際に作る前にどのようなゲームを作ろうか考えると思います。
もし、作ったゲームが自分以外の人にとっても素晴らしいゲームになってほしいと考えるのであれば、「作りたい」ゲームを作るのではなく、「欲しい」ゲームを作るのが重要です。
しかし、皆が「欲しい」ゲームを考えるのは非常に難しいです。
なぜなら、「皆」という謎の集団の気持ちになって考えることなど出来ないからです。
「皆」とか「一般のボードゲーマー」とか「若い人」とかそういう獏とした括りで、その人たちの欲しい物を想像するなんてのは、まず上手く行きません。
結局、自分がわかるのは自分のことだけなんです。だからこそ、「自分が欲しい」ゲームを作るというのが重要なんです。
ヨシヒコさんも「宿命の旅団のデザイナーズノート」の中で、「自分にとって実用的なゲームを目指した」と書いていましたが、この考えが非常に大事だと思っています。
しかし、もし、そのようにして、「自分が最も欲しいゲーム」を作り終えてしまったら……?
一作目が自分にとって最高の作品が作れたとして、その次はどうしていけば良いのか、
私が自分の経験から、ゲームの企画の際に考えていることについて書いていきたいと思います。
Studio GGの第一作目
私の第一作目の作品は「開拓王」というゲームで、2013年秋のゲームマーケットにて販売しました。
「開拓王」の制作ノートの記事にも、書きましたが、「開拓王」は自分が好きな(欲しい)ゲームを作りました。
その時に考えた自分の好きなゲームというのが、
・中量級
・タイル配置
・リソースマネジメント
・ダウンタイム少ない
という感じで、
従来のゲームで達成出来ていないと思われた要素が
・絵の繋がるタイルの上で生産とか建築とかする
・ダウンタイム少ないタイル配置
という部分でした。
「開拓王」はこの部分を上手く解決した自分にとって最高のゲームでした。
実際、この「開拓王」はそれなりに高い評価をいただき、初参加は10分で完売しましたし、
のちにSkylandsとして海外からリメイクも出版されました。
せっかく、一作目、上手く行ったので、できれば二作目も上手く出して行きたいところです。
しかし、同じ方向性で前作より良いゲームを作るのはなかなか難しいのです。
二作目に作ったゲーム
そこで、作った二作目のゲームが「きょうあくなまもの」です。
「きょうあくなまもの」は「開拓王」とは全然違うタイプのゲームです。
「開拓王」は「ダウンタイムの少ないタイル配置箱庭ゲー」としては自分にとって最高のゲームでしたが、「もうちょっとカードゲームっぽいゲームをしたい自分」や、「ちょっとした時に遊びたい自分」には最高のゲームとは言えません。
この「きょうあくなまもの」は「MtGのレガシーをメインでプレイしている自分」が、他の人とレガシーっぽいゲームを、特に準備をすることなく遊ぶことができるという意味で極めて実用的なゲームなのです。
このようにして、また自分にとって最高のゲームを作ることができました。
「自分」は一人じゃない
ここで大事なのは、あなたが「自分」だと思っているその人物は決して一枚岩の存在ではない、ということです。
私ですと、タイル配置やリソースマネジメント、ワーカープレイスメントといったユーロなゲームが好きですが、MtGプレイヤーでもあるので、特殊能力もりもりのカードゲームも大好きです。
また、人狼等の招待隠匿系のゲームも好きだったりします。
そんな、自分の一つの側面を取り出してあげて、その自分にとっての最高のゲームをつくる、これが「自分にとって最高のゲームを作り続ける方法」だと考えています。
自分の一つの側面を一人格として「○○な自分」と定義し、その自分にとっての最高なゲームを作り続けることで、結果として、自分と同じように○○な人達に強く響くゲームを作れるのではないかと考えています。
そして、自分は変わる
自分を多面的に捉えようと言っても、それには限度があるじゃないか、と思うかもしれません。
ユーロゲームもTCG風ゲームも作ってしまったし、他に興味がありそうなジャンルもないなー、となったとしても、あまり問題ありません。
数年も経てば、自分の欲しいゲームなんてのは変わっているものです。
○○な自分や△△な自分、□□な自分にとって最高のゲームが作れたら、また○○な自分に問いかけてみましょう。
きっと、今度は少し違う欲求を持ったりしているはずです。
また、ゲームを作るのに飽きたら、少し他の事をしてみるのもいいかもしれません。あなたが欲しい物はボードゲームの枠に収まらない何かなのであれば、それを作ってみるのもいいでしょう。
そしてふとした時に、またボードゲームが好きな自分に問いかけてみたら、新しい欲求が産まれているかもしれません。
その時が、またボードゲー厶を作る時かもしれません。
さぁ、最高のゲームを作りましょう!