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旅の小エッセイ エルランゲン
旅のスケッチをまとめた画集を刊行しました。
画集のタイトルは「Travel Sketch」よければ検索してみてください。
そこに収録したエッセイ、6か国の思い出エルランゲン編です。
きっかけはエルランゲン市からのメールであった。
そこでは歴史あるコミックイベント、インターナショナルコミックサロンが開催されているそうな。様々な漫画を中心とした色々なセクションがあり、その中のスケッチ分野で行うワークショップと、講演の依頼だった。
通訳も付くという。じゃあ、何とかなるか。ということで大船に乗った。
折しもビール祭りが開催されていた。オクトーバーフェスよりも古い、ベルクキルヒヴァイという祭りとのこと。英語ではなくてドイツ語が飛び交っている。全く分からない。
ニシンのマリネのサンドイッチを買って食べた。うまい。
講演を行うスケッチャーは世界中から招聘されているので、連日交流も兼ねた催しがあった。ニュルンベルクなど近郊の街を巡るツアーなどだ。
ニュルンベルクで歌を歌っている男性に感銘を受けた。
うまいというよりは独特な歌い方だった。ものすごく堂々としていて、恥じらう様子が全くない。
やると決めたら精一杯やるという感じだった。こんな風にスケッチしようと思った。
講演やワークショップ、各国のスケッチャーとの交流を通じて、興味深かったのはコミュニケーションのあり方だった。
講演で、京都でスケッチ禁止になった場所や理由を挙げ、控えたほうがよい行為を紹介したら笑いが起きた。冗談だと思われたらしい。
例えば、通路の妨げになるような行為への注意喚起。
ドイツではスケッチャー達が道の真ん中で長話をするところも見た。
「邪魔であれば、そう言ってくれたらいい、コミュニケーションとはそういうときに使う道具。最初から端による人もいる」ということだった。勿論、妨げようとしているわけでは無い。
「妨げになっていると思われないようにしよう」ではなくて、
「妨げる意思はないし、妨げになっていたら言ってください」のコミュニケーション。
どっちが優れているというものでもなく、それぞれに長所短所があって、両方あるのが面白い。
ありきたりなセリフではあるが、旅行は良いものだ。
旅行先での発見、旅行がきっかけの自分の国の発見、常に劇的に何かのインスピレーションになるわけではないが、小さな気づきも人生のちょっとした彩りで、つまりは楽しい。
次はどこに行こう。
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