企業撮影も、ディレクションも、実は得意 【スタジオループ座談会⑤】
前回はこちら。
プランニングとサンプリング
HAMA
COZIは、現場作りがすごい上手。スタッフ使いも上手。俺はスタッフ使いがめちゃくちゃ下手なんですけど、COZIはみんなに差配しながら上手にできるから、すごくスムーズ。だから、ゴールが近い。
COZI
ゴールが近い写真とは何かというと、30枚撮った中から選ぶような1枚を、1枚撮るだけで終わらせられる、ということですね。
TAKUMA
だから、ディレクター的ですよね。
HAMA
企業さんはCOZIにディレクションを任せるといいかもしれない。ビジュアルディレクションが上手なので、包括的に任せた方がうまくいくタイプですね。
ピンポイントでこの場面だけ使おうというカメラマンじゃない感じがします。例えば、こういうビジュアルを三つぐらい使って、メインはこのカットにしようと、頭の中で組み立てて撮るからすごくいいと思う。
僕はお客さんから求められたものを出そうとしちゃうから、お客さんの中でイメージが固まっていないと上手くいかないんですよ。だけど、COZIはこうやりましょうっていうのをきっちり出せるタイプです。
YAMADA
誰よりもプランニングをするんですよね。パターンA・B・C…をたくさん出して、その中で一番良いものを提供する。
HAMA
サンプリングのセンスもいいしね。
COZI
SNSがない時代から、雑誌から集めておいた写真を当てはめてプランニングする、というやり方をしてきたから。
HAMA
お客さんに写真を見せながら説明ができるからわかりやすいですよ。だからイメージの共有がしやすくてゴールが近い。
TAKUMA
ループに依頼が来ると、COZIから割り振られるんですけど、お客さんが何を求めているかを説明してくれるからやりやすいんです。俺の性格上、自分で考えるよりも「こういう写真が欲しいから良い感じにして」というのが一番やりやすい。
COZI
TAKUMAは0で投げても1しか来ないけど、3投げると5くる。
TAKUMA
もうちょっと規模を大きく表現して…(笑)。
COZI
(笑)。いい感じに撮っておいてというと10点なんだけど、50%ぐらいのアイディアを渡すと、90点以上で返してくれる。
天気に課金
―職業病だなって思うときはありますか?
YAMADA
常に「ここで写真撮ったら良い感じになりそうだな」って考えてますよね。
TAKUMA
観光客を見つけると「スマホ撮りますよー」って言っちゃいますね(笑)。撮ります撮りますって。
YAMADA
天気はめちゃくちゃ見ません?
HAMA
天気は気にしてる。露出を気にしてるから。
TAKUMA
天気予報の有料アプリも入れちゃいました(笑)。
YAMADA
分刻みで変わりますもんね。何分後に雨が来そうかなとか。そこから逆算して、この撮影はこういう順番にした方がいいなとか。
HAMA
ロケだと特にそうなるね。
COZI
あとは、この人を撮るならこう撮ろうって常に考えてるかな。
YAMADA
こういう角度がいいかなとか。
TAKUMA
勝手に人の性格を想像したりね。喋ったこともない相手とかも。
COZI
カメラマンはイメージをしないといけないんですよ。目の前にいる人がどういう人かをイメージしながら撮ったり、こういう人だったらこれが似合うだろうと考えるから。だから勝手に人格を付けますね。
YAMADA
COZIと一緒にいるときに、道を歩いている人を見つけて「あの人の趣味、何だと思う?」みたいな会話をやります。
TAKUMA
失礼ですよね(笑)。
COZI
普段からそれを練習してんだよね。
HAMA
背景色とか考えるってことだもんね。
3人
そうそう。
COZI
自分一人のときにもそういうことを考えていて、この人にはこういうのが似合うんじゃないかっていう最適解を考えてる。シチュエーションとかを考えるのは職業病かもしれないですね。
写真にはテーマを
―良い写真を撮るコツはありますか?
COZI
いっぱい撮って奇跡的に一番良いのを選ぶこと。普通の人は1枚しか撮らないじゃないですか。うちらは結婚式だと3000枚は撮るんです。その中に400枚良いのがあれば良い。家族写真も1000〜1300枚ぐらいシャッター押して、100枚良いのがあればいい。20年以上カメラをやっているプロでもそれぐらいだから。
TAKUMA
人を撮るなら、喋りながら、話しながら、撮る。ずっと喋りながら撮ると、いろんな表情が出てきます。「笑って」って言ってもなかなか笑えないじゃないですか。だから、たくさん喋ります。
HAMA
あと、撮りたいものをはっきりさせることかな。何を撮りたいかがはっきりした写真を撮るっていうのが重要ですね。
COZI
余計なものを入れないということ。例えば家族の笑顔を撮りたいなら、それ以外を入れないのが一番。無背景がいいし、緑だけがいい。昔の仕事で、クライアントは古町で女性を撮った写真を求めていたんですね。だけど、その後ろに「切れ痔」のポスターが写ってしまってた。人は情報を読み取ろうとするから、それだと「切れ痔の女の子」になっちゃうんですよ。だから必要のない情報は載せない、撮らない。テーマや目的を決めるのが良い写真の条件かな。
【次回へ続きます】
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