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マンガ実践稽古#02:ベタを効かす表現 × タテスク形式に挑戦【成果物のアップデート】
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このマガジン「マンガを描くとはどういうことか? 実践稽古」では、「マンガという総合芸術が生まれてくる過程で何が起こっているのか」を、先人に学びながら、自らマンガを描くことで探求していきます。
実践稽古#02 の目的
今回は、以下の記事で公開しているタテスクマンガ(「芸術とは何か?」 試作版)をアップデートしました。
稽古の焦点は、前回と変わりません。
テーマ設定:創造=消化こそが真のインプット
マンガ表現:ベタを効かす
マンガ形式:縦スクロールの表現
前回の主な反省点は、「スクロールしながら、想定外に読み飛ばしてしまう場面がある」ことでした。そこで、全体的に、スクロールで絵が出現するタイミングを意識して、「視覚的リズム」を改善することに尽力しました。
タテスクマンガ: 「芸術とは何か?」 更新版
縦スクロールマンガ形式で画像を貼ります。虫や排泄物など、グロテスクな表現が含まれますのでご注意ください。よろしければ、ぜひご覧ください。
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おわりに
ご高覧いただき、ありがとうございます。
前回の主な反省点は、「スクロールしながら、想定外に読み飛ばしてしまう場面がある」ことでした。そこで、全体的に、スクロールで絵が出現するタイミングを意識して、「視覚的リズム」を改善することに尽力しました。
また、より「創造=消化」というコンセプトを明確にするため、フィナーレに「鯨骨生物群集」の分解ステージ(50〜100年にわたるプロセス)をタテスクロールで駆け抜けるシークエンスを追加しました。排泄からの土壌分解に加えて、海洋での分解も加わり、いよいよホドロフスキー監督の「謙虚な排出物がアートです」という言葉を、わたし自身が咀嚼しはじめているような心持ちになりました。
※ このマンガを描くきっかけを与えてくれた、ホドロフスキー監督の記事を引用しておきます(太字の強調は筆者)。
宇川:そこで監督、果たしてアートとは何でしょう?
ホドロフスキー:アートは、光る虫を飲み込んだカエルのようなものだ。
宇川:なんですか!どんな暗喩があるんですか。
ホドロフスキー:カエルは大きな口を持っています。そして暗いところに住んでいます。月が欲しいと月に憧れます。ですからそこにホタルみたいな光る虫がいますね。そうすると光っているがゆえに食べるわけです。そしてそれはまるで光を取りに行こうとするアーティストのように、それを消化します。それでウンコとして光る作品を出すのです。でもそれは月ではありませんが、月のような、謙虚な排出物がアートです。
宇川:ハードコア・ピュアネス・グロウ・シットがアートなんですか。
ホドロフスキー:今あなたがやっていることをもし理解できなくても、それは心配しなくていいと思います。豚がいます。でもその豚をバカにしないでしょう。ですから、消化できないような種をその豚にあげてください。何の役にも立ちません。でも長い時間をかけてウンコが出たら、それが豊かな土壌を作るかもしれない。ですからいろんなところに種を撒いていけばいいのです。分かろうが分かるまいが。
宇川:ありがとうございます! ホドロフスキー監督に拍手を!!
ホドロフスキー:アリガトウ!!
新たに「鯨骨生物群集」の情景を描きながら、わたしは、ホドロフスキー監督の言葉を「作品をつくる」プロセスとして表現しようとしていたのだと理解しました。その意味では、タイトルに掲げた「芸術とは何か?」だとニュアンスが異なるかもしれません。むしろ、「芸術行為とは何か?」「作品をつくる時、何が起こっているのか?」といったニュアンスを描き出そうとしていたのだと、いまでは感じています。