戦後80年目に生きる人間の本音【今日の余録】
原爆に家族を奪われた箕牧さんの言葉は重い。確かにガザの現状は、戦後の日本と重なるのかもしれない。でも正直に言えば、80年以上も前の焼け野原からの復興は、戦争を体験していない僕らには遠すぎる話で、現実感がないのも事実だ。
もちろん、毎日ガザのニュースを見かけるたび、なぜ争いごとは無くならないのかと憤ることはある。低体温症で亡くなった赤ちゃんの話を聞けば、当然胸が痛む。トランプ氏とバイデン氏が、ガザ停戦を、「自らの成果」として競う姿を見ると、やるせない気持ちにもなる。
でも、そこで立ち止まってしまう。
なぜなら、結局は身の回りのことで頭がいっぱいだからだ。
日本では電気代が上がり、物価も上がり、経済もうまく回っていない。遠い地での戦争より、目の前の生活のほうが切実。これが一般的な庶民の立場だと思う。
などと言っているから、歴史は繰り返されてしまうのだろうか。いやそこは、やはり政治の領域のはず。もしくは、他人にまで気を回せる余裕のある人たちに任せるしかない話。残念だけど、仕方ない。
戦争を経験していない世代が大半を占める現代。あと10年も経てば、日本で戦争を経験した人がいなくなるのも、そう遠い話ではない。過去の戦争を語れる人がいなくなったとき、戦争の悲惨さを正確に伝えらえるのだろうか。本や動画に残っていれば、教訓として未来永劫刻まれていくのかといえば、過去の歴史を見るとそうでもない気がしている。
などと言っておきながら、どうせ明日になれば自分のことで頭がいっぱい。ガザの停戦が期限付きの話もどこかに放り投げ、日々の業務と締切に追われる毎日になるのだろう。