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西国無双の武将・立花宗茂が教えてくれる「捲土重来」の真髄【今日の余録】

きょうの余録に出てきた「捲土重来」。項羽と劉邦の故事に由来するその言葉をみたとき、戦国時代の武将・立花宗茂のことを思い出した。

立花宗茂は、戦国時代最強の武将との呼び声が高く、推しの人も多いはず。豊臣秀吉は、その強さを「西国無双」と称えたほどだ。豊臣政権下では順風満帆な人生を送っていた宗茂。しかし、関ヶ原の戦いが彼を奈落の底に引きずり下ろした。西軍についた宗茂は、敗戦後にすべての領地を失い、一介の浪人となってしまうのだ。だが、宗茂はここで諦めなかった。

とはいえ戦国の世において敗者の道は険しい。西軍の大名たちの多くは領地を失い、その後の人生は大きく変わることになる。そんな中で、宗茂は違う道を選ぶ。浪人となっても、武士としての品格を失わず、酒に溺れることもなく、粗暴な振る舞いもせず、ただ静かに日々を過ごした。そんな宗茂の真摯な姿勢もあってか、家臣たちが彼を見限ることはなかった。

そして1614年、大坂の陣でふたたび転機が訪れる。宗茂は再び戦場に立つ。彼の実力と人望を見込んだ徳川家康が宗茂を召し抱え、旗本として仕える機会を与えたのだ。その後、宗茂は柳川藩で大名として復活する。一度領地を失った大名が再び旧領を回復するのは異例中の異例。日本史における「捲土重来」の体現者といえば、やはり立花宗茂なのだ。

宗茂の生き方は現代のビジネスやフリーランスの世界にも通じものがある。例えば、会社を辞めたり、プロジェクトが頓挫したりしても、焦って適当な仕事に手を出してはいけない。自分の品格を保ち、誠実に仕事を続けることで次のチャンスを掴める。人は意外と見ているものだ。

項羽は敗北の果てに自ら命を絶った。でも宗茂は違った。負けたから終わりではない。その後どう生きるかが、次の道を決める。立花宗茂が教えてくれる「捲土重来」の真髄は、まさにそこにあり、彼が現代でも人気のある由縁だろう。

今日の余録と参考資料

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