雨の日のひざ掛け rain blanket
◼️きっかけは 「雨の日どうしてる?」
きっかけは、「おしゃれを楽しむ」ことにテーマに集った会でした。車いす用レインコートをはじめとする雨対策が話題になったところ、電動車いすで通勤している方から「雨風の強い日に使える、ひざ掛けがないか」とのご相談がありました。
伺うと、雨の日には、市販の膝上丈のレインコートを着て、足元には仕出弁当を包む様な薄いビニールをかけて出かけているそうです。けれども、雨風の強い日にめくれ上がってしまい、特注で作った革製の靴(装具)が痛んでしまうのではと気になっていたそうです。
そこで、しっかりと足元をカバーして、風の日にもめくれない「雨の日用のひざ掛け」が欲しい、とご依頼をいただきました。
◼️困るのは風の強い日
このビニールは、正方形です。車いすのフレームに洗濯バサミで挟んで使います。小さく薄くたためるので持ち運びやすく、小雨の時には重宝しているそうですが、風の強い日には、その軽やかな薄さが弱みになってしまうのでしょう。
ご相談を受けて自分のことを振り返ってみたのですが、私も小雨のときは折り畳み傘、強い雨のときには長傘やコート、とレイングッズを使い分けています。車いすで移動されている方も、雨の状況に合わせて選べたらいいですよね。
◼️課題の整理
件の会で興味を持った参加者とともに何度か集まりました。まずは、風呂敷ビニールをかけた状態で、カバーしたい範囲や使用状況などを伺いながら、ご本人を囲んでアイディアを出し合いました。採寸をして、トワル生地での試作、部分縫いでの使い勝手の検討などを通じて、課題や解決策を整理してゆきました。
課題となったのは、
・車いすにどう固定するのがよいか
・膝の上に置く荷物の量の変化にどう対応するか
・左右の足先までの長さの違いにどう対応するか といったことでした。
◼️試作品を雨の日に使ってみる
最初のご相談から数ヶ月後、防水生地製の試作品を確認していただきました。
車いすへの固定方法は、これまでと同様に洗濯バサミを使うことになりました。さらに、上端にストラップをつけて、エプロンのように首から下げることにしました。これにはいくつかのメリットがあります。
1つめは、膝の上に置く荷物量の変化に対応できること。荷物が多い時はストラップを長く、少ない時にはストラップを短く調整することで、裾を地面に引き摺らずに済みます。
2つめは、装着がらくになること。裾をフットレストにかけて、次にストラップを首にかければ、ひざ掛けが安定しますので、脇に挟み込んだり、裾を整えたりする手順を落ち着いて進められます。
3つめは、上から下まで滑らかな坂道を作ることで、水滴が貯まらずに地面に落ちていくことです。これは、レインコートでは欠かせない機能です。
加えて、脇の長さを調節できるようにしました。裾を引き摺らないためには、左右差への対応が欠かせませんでした。この方は、左側だけ短くして使用されます。
この試作品を、2ヶ月ほど、雨の日、風の日に使っていただくこととなりました。実際に暮らしの中で使っていただくと気づくことがあります。
・台風の日に裾がめくれてしまったこと
・考えていたよりも荷物が多い時があったこと
とお知らせいただきましたので、これまでの仕様に加えて、裾に錘を仕込むこと、膝上のゆとりを増やす修正を行いました。
◼️完成した「雨の日のひざ掛け」
このような試行を経て出来上がったのがこちらの「雨の日のひざ掛け rain blanlet」です。お納めしたら、「次の雨の日が楽しみになりました。」とご連絡をいただきました。
雨の日にも、軽やかに出かけられたり、楽しい思い出ができたりしたら、とても嬉しいです。
「雨の日のひざ掛け rain blanlet」の仕様はこちらにまとめています。
■デザインシート
洋裁の経験があれば、こちらを参考に作ってみてください。
(難易度★★ 防水生地を取り扱える)
(デザインシートの商用利用はお控えください)
■オーダーのお問い合わせ
studio fuku では「雨の日のひざ掛け rain blanket」の製作を承ります。
ご紹介したものと同じ仕様のお仕立て代 参考価格 9,504円(税込)
※ お仕立て代のほか、材料費(約4,000円)、送料などがかかります。
※ デザイン、仕様、寸法などを変更する場合は、別途料金がかかります。
写真でご紹介している見本を試着していただくことができます。
ご依頼のご相談、試着のご希望など、こちらからお気軽にご連絡ください。
(studio fukuのホームページに移動します)